2024-04-28

珥暇に骰を禎す

珥暇に骰を禎す(じかにさいをさいわいす、あるいはじかにさいをていす、とも)出典:『淮南子』外5巻



昔、楚の国に珥(みみわ・みみかざり)の暇*1、に骰(サイコロ)を投げ込み、骰が耳輪に嵌まり込むことを楽しむ者がいた。

噂を聞きつけた楚の荘王は配下の伍挙を遣わせ、その者になぜそれが楽しいのか? 何かのまじないなのか? と問うた。

その者が答えていわく「まじないでもなんでもない。ただ耳輪の合間に骰が嵌るのが楽しいのであり、その理由こそが理由だ」と。

伍挙は呆れて帰りこのことを荘王に告げ、王はそれ以上その者について問うことはなかった。

ここから価値のないもの価値をひたすらに見出すことを「珥暇に骰を禎す(禎珥暇骰)」と呼ぶようになった。


注1

従来この「暇」字を解釈し、耳輪の円環のうち、耳に掛ける隙間の部分を指すと考えられてきた(高誘『淮南鴻烈解』など)。

金谷治氏は、古来よりのこの解釈肯定しながらも、「暇」字で耳輪の間隙を示すことにはやや不自然さがあると指摘した。

また当時の耳輪とサイコロとの実際の形態考慮に加え、「暇」字は何か他の文字、例えば「瑕」や「緞」など他の字の誤字である可能性について自説を論じた。

近年『淮南子』の古い写本が前漢代の墳墓から発見された。そこでは「暇」字は「緞」とあり、金谷氏の推測を裏付ける結果が出ている。

この場合、耳輪の下に絹布が敷かれた状態が、例えば擲銭のような易のまじないをする際のしつらいに似て、いかにも呪術的な様相を持つといったニュアンスになる。

こうしたしつらいをしているにもかかわらず、問われた男はそこになんの意味を見出さず、ただ投げて楽しんでいるのだ、と答える。

このように「緞」字でも後段との文脈齟齬を来さず、古い時代「暇」字は「緞」字であったことへの蓋然性を示している。

  • なんやろ。2ちゃんねるの頃をちょっと思い出すわ 気合い入れてふざけて盛り上がったりしてた

  • へ~と思ったら噓かーい しかしなんや偉い人が「ある所にこういうことがあってね」と主人に寓話を説いたことがことわざの元になっていることはしばしばあるわけで その偉い人の話が...

  • ふと思ったけど世界観のできてる漫画とかドラマだと、その世界でできたことわざとか格言とかあってもいいよな そういうの作り出してる作品ってあるのかな

    • グベン軍10日目の慟哭 https://twitter.com/allizdoa/status/1729706994502701515

    • ファンタジーだとちょくちょくあるよ そんな大量にあっても説明がめんどいだけだから作中に1,2回出る程度とかだけど。

    • ウマ娘だろ。諺でも徹底して馬の漢字を使ってない

    • ゼルダで魚の種族が「襟を正して」の文脈で「ヒレを畳んで」と言っていた気がする

    • 知っているのか!?雷電!

  • 時々分かりにくい冗談を言う友達がいて、そいつの冗談は分かりにくい。意味不明と言われてそのうち完全スルーされるようになったが、はてなは全体でそんな感じなのかな。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん