2024-04-23

地獄

人生という言葉自体に腹が立つ。ムカつく。苛々する。ここんとこ自分はそうして日夜怒髪天をつく勢いで怒りまくっているわけであり、日毎に壁を殴ったりテレビを罵りたおしたり寄せ鍋をつついたりしているのだけれど、自分という阿呆は怒りの対象も判然としないままにそうして無闇やたらと怒っているもんだから、当然その怒りに長期的な継続などはなく、又、それがなにがしかエネルギー喚起させて自分が生きていく上での力となるなんてこともない。怒りはやがて雲散霧消し、自分はどうでもええんちゃうん、と吐き捨て、テレビを消し、糞を垂れて寝る。救いようのないぼけ茄子

 

そしてぼけ茄子しか貧乏といった二重の苦しみを背負っている自分絶望的なことにバイトなどでくだらん汗水を垂らさねば、後は窃盗強姦などに走って一生刑務所暮らしとなり果てるより他に無いので、まぁ刑務所よりはなぁなんつってバイトなんてもんに行く。嫌やなぁ、働きたないなぁ、自分はしかめっ面で自動改札に定期を挿入し、うひゃあ、なんつって目を瞑りながら改札を通って駅のホームへと向かう。きついですよ、本当。んで駅のホームには傘をゴルフクラブ見立てスイングの修練をしている中年サラリー野郎がって、嘘です、今時そんな絵に描いたような人はようおらんのですが、代わりに「終日禁煙」ってずどん、と書いてある横でぷかりぷかり煙草を燻らせている面白い髪の色の方がいらしてたので、自分はその糞たわけの煙草をわっしと掴んで地べたに放り捨て、ふざけんなゴミが、という諫言とともに頬の二、三発でもはってやろうと思ったんですが、何とその方電話中で、はは、悪いもんね、邪魔しちゃ、っつって僕もその人の横で煙草を吸うた。そうこうしてる内に電車がぷきーとふざけた音を出しながらちんたらとホームに進入してきたんで、自分も無表情な衆愚どもに混じって車内へと乗り込むんですが、乗り込んだ途端にぐぎゃぁぁあぁぁとどっかの阿呆餓鬼がいきなり泣き出すわけですよ。たまらんね。握ってる吊革を思わず引きちぎりそうになるほど腹が立つ。ああいう時ってきっとその餓鬼の親以外、ひょっとしたら親も、ともかくその場にいる全員があー殴り散らしたいって思ってるんだと思うんですよ。だから餓鬼はその負のパワーを感じてさらに泣きやがるんです。地獄やね。因果は巡るんよ。ぐぎゃああぁぁああぁぁ。

 

で、たまらんなぁ、早く降りたいなぁ、って僕は思うんですけど考えてみたら電車から降りたら僕はバイトに行かなあかんので降りた所で地獄やないですか。だからこのまま電車脱線事故するなり爆破されるなりして、ともかく無茶苦茶になってくれればええのにって思う。したら餓鬼死ぬ自分バイト休めるしね。いいことづくしなんです。しかしそんな自分の思惑をよそに毎回毎回電車はきちんと目的地に到着しやがるわけで、自分はそんな律儀にされてもかなわんなぁ、なんて思いつつも結局はとぼとぼ肩を落としてバイトに向かう。帰りたい。でも帰ると今度は金が無くなるんでどっちみち地獄

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