2023-11-07

anond:20231107165629

宮川判事における弁護士任官の位置付けは、ブコメでも紹介されているインタビューに現れている。

── 弁護士出身最高裁判事として,どのような思いで職務にあたられましたか

 私が最高裁判事就任の際に述べた抱負が三つあります

 一つは,「弁護士職務というのは,法を秩序の側からみるのではなく,人間の側からみることにある。 だから最高裁判事としても,論理・秩序からのみ考えずに,人間の側からも考え,判断していきたい」と述べました。このことは,任期中,貫いたと思います

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2012_06/p20-23.pdf

ここでは、弁護士出身判事弁護士的なもの見方裁判所に持ち込むべきだという意識が示されている。

したがって、弁護士から任官し弁護士的な見方を持ち込むことを使命とした宮川が認める「価値」というのは、「この特殊日本的な状況」によって裁判所に「人間の側から」の視点を持ち込むことにあるということができる。少なくとも、元増田が言うような出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合いであると推測できるような根拠は何一つない。

 

上記の、職業裁判官以外の視点を持ち込むべしとする問題意識は、弁護士官制度の導入について最高裁日弁連が語っているところと共通する。弁護士任官の意義は下記のように説明される。

弁護士任官の意義

 大部分の裁判官は,司法修習生から判事補として採用されたものである単一な給源による者のみで組織長期間構成され続けるならば同質化により制度疲労に繋がるおそれがあることは裁判所とて例外ではあり得ない。それを防止するためには,多様な社会的立場にもとづく多様な価値観を有する国民の期待に応え,質の高い判断ができる優れた裁判官を,給源を多様化することによって確保する必要がある。裁判官の他職経験制度と共に,弁護士任官の制度はその目的を達するための極めて重要な意義を有する制度である

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2017_11/p02-21.pdf

上記弁護士会の担当者による説明であるが、最高裁日弁連が共同で出した「弁護士任官等に関する協議の取りまとめ」における下記の記述は、上記の考え方を前提としたものである

最高裁判所と日本弁護士連合会とは,裁判官の給源の多様化・多元化を図り,21世紀我が国社会における司法を担う質の高い裁判官安定的に確保するため弁護士から裁判官任官を大幅に拡大することが極めて重要であるとの基本認識の下に,任官することの魅力と任官しやすさを増し,弁護士官制度を実効あらしめるための具体的方策について,本年 4月から,おおむね月2回のペースで協議を重ねた結果,当面講ずべき措置について,以下のとおり協議が整った。

https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file2/80616013.pdf

っていうかさぁ、最高裁判事を務めるような人間が「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせない」みたいなもの価値を見出すと思ってる時点で、なんつーか、志の高い人と話をしたことがないんだなーって思うわ。

記事への反応 -
  • 結論 (事実関係) ○最高裁判事の枠や各団体(裁判所・弁護士・検察官)からの一名を推薦し、内閣はそれに従うという慣例が成立したのはここ50年ほどで、法的根拠はない。 ⇒一名は...

    • 「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合い(実に日本的だ!)だろうから ちげーよバーカ

      • ならなんでかそれを説明しろよアホ

        • 宮川元判事における弁護士任官の位置付けは、ブコメでも紹介されているインタビューに現れている。 ── 弁護士出身の最高裁判事として,どのような思いで職務にあたられましたか...

          • それは特殊日本的な状況じゃねーだろ なら他の国がそんなの無視している、無視すべきと考えているとでも言うのかよ

            • 増田はまず 「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせないために事前に調整している」という意味合いであると推測できるような根拠 を挙げてみてはいかがか。 いまのところツッコ...

              • まあそもそも団体ごとに枠を用意するって別に日本に独特のものでもないと思うけどな。 典型的なところではレバノンの宗教別権力とかあるし、部族者会ならポストは部族ごとの利権だ...

                • 確かに法曹と法律研究者って宗教団体の部会と考えば枠も納得だな 関係者に目配せして利権調整した枠がなきゃケンカになるしね

          • これじゃなんも説明できてないぞ 今の配分が適切だって何も説明できてない 弁護士から4人が適切で5人じゃダメな理由がわからん 元増田にある批判意見のとおり「より適任者を選ぶべ...

            • 「より適任者」なるものの判断基準の恣意性が警戒されるべきときに、形式基準を導入するのは合理的だろ。

              • それが当初の5-5-5じゃなくて5-4-6な理由は? 当時のパワーバランス以上に合理的な説明できるの?

              • 推薦のほうがむしろ恣意性高いだろ。しかも選挙の洗礼受けてない有権者のコントロール外で行われる恣意的行為だ

          • っていうかさぁ、最高裁判事を務めるような人間が「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせない」みたいなものに価値を見出すと思ってる時点で、なんつーか、志の高い人と話をした...

          • 最高裁判事を務めるような人間が「出身母体間や推薦者間に軋轢を生じさせない」 このような読み方しかできないのは流石にレベルが低いというよりなんだろうな・・・

    • 安倍がやったからとりあえず悪ってしてる人が多いのが面白い

    • 三権分立って国民⇒立法、国民⇒司法は選挙があるけど、国民⇒行政は選挙がないの欠陥だよな

      • 議院内閣制だから総選挙よね。地方自治にはリコールあって草津町でしっかり機能した。

    • 護憲や権力の分立に肯定的な人ほど安倍を誉めなきゃだよなぁ 党派性に毒されすぎてできないんだろうけど

      • 共産党にしろ立憲民主党にしろ日本の護憲派って9条以外はどうでもいいと思ってそう

        • それはおまえの願望にすぎない

          • 憲法を尊重したいなら安倍の慣例破りには賛同すべきだったよね…共産党も立憲民主党も反対してた気がするけど

      • 元々既得権益と批判していた朝日新聞が今回手のひら返したのが興味深い

        • 記者の質が落ちた。読者の質に合わせた結果なんだろうが

    • << 弁護士枠の判事は、まず日弁連が候補者の推薦リストをまとめ、最高裁がその中から数人を選んだ上で、最終決定権を持つ内閣が決めるのが近年の慣例だった。 朝日の記事には...

      • 追記しました、ご指摘の通りその点は朝日新聞が正しいです。 論旨には変更ありません

    • うーん、選ばれる側に推薦リスト作ってもらってその中から選ぶ、というのは古今東西広く行われているものなので。 慣例破りで推薦リスト外から任命するのが悪いとは言えないのと同...

      • 推薦はあっていいと思うよ 内閣はそれに従う義務がないってだけで

        • 学術会議も同じ構造。選挙の洗礼を受けていない者の推薦を無条件で飲むのは有権者のコントロール下にないことを意味する

    • 字下げが書いたかと思った

記事への反応(ブックマークコメント)

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