2023-10-28

anond:20231028151154

得をするのは誰か

これは米国消費者にとってお得なことなのだろうか。この問いへの答えは一筋縄はいかない。航空券ホテルの料金の支払いにポイントを利用すると、無料特典を利用したように感じるかもしれない。しかし、クレジットカードの利用手数料によって経済全体の価格が上がるため(ビザマスターカードは売り上げの一部を手数料として受け取る)、ポイント交換はちょっとしたキックバックを得ているのに近い。

この仕組みでは、ポイントたまるカードを持たない消費者が不利になる。彼らはどこにでもある商品サービスに高額を支払いながらポイントはもらえず、すでに富裕層に偏りがちなカード利用者の特典を事実上補助していることになるからだ。

連邦準備制度と同様、航空会社は無から通貨(つまりポイント)を発行し、各社はその通貨価値や何に使えるかを決めることもできる。このことは、ポイントシステムが非常に不透明で、しばしば不公平に感じられる理由説明するのに役立つ。

オンラインではポイント現金価値の推計が試みられているが、航空会社は事後的にポイント価値を下げたり、交換方法を変更したりする可能性がある。航空会社はいわば為替レートの評価額よりも高くポイントを売ることさえある。つまり、本当の価値がわかりづらいこともあって、人々は購入金額よりも価値の低いものお金を払っていることになるのだ。

これを踏まえると、デルタプログラムに変更を加える理由は容易にわかる。複数運賃種別の台頭や、マイレージ収益デカプリング(非連動)を背景に、マイレージではなく利用額を重視する方向へのシフトは以前から進んでいた。いっぽう、特典を制限し、ステータス獲得の条件を増やすことは、コスト分散する方法のように映る。引き換えられる可能性のあるポイント残高はあまりに多く、GDP支出の1%に相当するのだから

航空会社ロイヤルティプログラム価値を落としても、顧客の怒りを買わずに済むにはどうすれば良いか疑問に思うかもしれない。各社は顧客忠誠心が薄れてしまうと心配しているのではないだろうか? そんなことはない。

米国では、たった4社の大手航空会社市場の4分の3以上を占めており、各社は足並みをそろえて動く傾向にある。実際、アメリカン航空も先ごろマイレージプログラムに同様の改定を加えた。顧客には他に行くあてがあまりないのだ。

記事への反応 -
  • 日々の買い物も航空会社提携のクレジットカードで決済し、特典航空券のためにこつこつと「マイル」を貯める、航空会社の「ステータス」を維持するために、高い年会費を払ってカー...

    • 得をするのは誰か これは米国の消費者にとってお得なことなのだろうか。この問いへの答えは一筋縄ではいかない。航空券やホテルの料金の支払いにポイントを利用すると、無料特典を...

      • 守られなかった約束 「疑似銀行」になりつつある航空会社の奇妙な進化は、さまざまな点で規制緩和がいかに悪手だったかを浮き彫りにしている。規制は、航空会社が営業できる条件を...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん