2023-07-09

なろう系に学ぶホワイト企業の条件。

どーも、増田です。

好きなセリフは「(俺たちは)今一流を除き 最も下層に近い パーティだぜ」です。

※『パーティから追放されたその治癒師、実は最強につき』より


今回は絶賛連載中である『転生領主の優良開拓前世記憶を生かしてホワイトに努めたら、有能な人材が集まりすぎました~』というコミカライズ作品があるため、これを例にホワイト企業の条件を考えてみようかと思います

本作の主人公求人票の張り紙を出すことになります

内容は以下の通りです。

領民募集

・アーレンツ領勤務

週休二日

労働時間 8時~17時(うち昼休み1時間

残業なし

・月給 銀貨30枚(別途収入がある場合は歩合として要相談

福利厚生完備 ボーナス年2回 昇給年1回 各種危険手当あり

・その他の細かい規約などは一切なし

異世界なのに現実社会のような書き方をしていたり、領民現実世界会社員と同列に考えて募集するの自体どうかと思うのですが、そこは置いておきましょう。

重要なのは、本作の主人公は「これこそがホワイト企業の条件」と考えていることです。


まず「週休二日」について(この項目だけ漢数字を使っているのも不思議ですが、まあいいでしょう)。

もしホワイト企業のつもりで書いており、安定した休みがあったほうがいいと思って書いているなら、ここは「完全週休二日」と書くべきです。

なぜなら「週休二日」は「月に1回以上、週二日の休みがあること」だからです。

まり「キミは先週は二日休んだから、今週は休み一日だけでいいよね」ということが罷り通ります

主人公前世は、ブラック企業務めによる過労で倒れたという設定です。

ならば「週休二日」と「完全週休二日」の違いについては気をつけるべきポイントでしょう。

とはいえ週休二日が必ずしも悪いってわけでもないので、まあいいでしょう。


次に「労働時間 8時~17時(うち昼休み1時間)」と「残業なし」について。

労働時間については、昼休みを除けば実質8時間働くことになり、まあいいでしょう。

しかし「残業なし」については些か疑問が残ります

残業=悪」と思われがちなのはブラック企業労働力搾取する目的で乱用するからです。

しか労働者にとって残業は「プラスアルファ収入を得るためのアディショナルタイム」にもなりえます

まり企業悪用しない限りにおいて、残業はあってもいいものなんです。

なので「残業なし」となると、「(通常なら)労働者にも旨味のある条件そのものを失くす」ことに繋がります

そもそも業務内容が判然としないので労働時間妥当性にも疑問が残ります

本作は「魔物に襲われて領地を荒らされて、領民も居なくなった。今後の対策のためにも募集をかけている」という経緯があります

いつ襲ってくるか分からない魔物に対抗するならば労働時間不安定になり、時には残業必要になるでしょう。

或いは魔物たちにも労働時間が決められていて、残業絶対にしない決まりがあったりするのでしょうか。

そうでなければ経営理念業務内容、実際問題齟齬が生じているため、この労働時間残業の皆無はウソになります

とはいえ働く時間が短いこと自体はよいことなので、まあいいでしょう。


次に「月給 銀貨30枚(別途収入がある場合は歩合として要相談)」の項目。

残業がない代わりに、固定給とは別の報酬制度バランスをとっているんだと思います

でも、「別途収入がある場合は歩合として~」は、ちょっと書き方が変ですね。

これだと、まるで「副業で得た収入を、関係ない企業成果物として扱う」みたいにも解釈できますが。

書き方が少し変なだけなので、まあいいでしょう。


次に「福利厚生完備」についてですが、かなり大雑把な書き方ですね。

どんな要求でも、福利厚生範疇なら企業側が応えるってことですから

「何に、どのような、どの程度の支援サービス提供するか」という課題は、各企業が苦慮している事柄でしょう。

そこにきて「完備」とは大きくでたな、と思います

あと福利厚生と同じ項目に「ボーナス年2回 昇給年1回 各種危険手当」を一括りにして書いていますが、これはまあいいでしょう。


こうなってくると、最後の「その他の細かい規約などは一切なし」という項目も香ばしくなってきます

本来規約を設けるのは、企業側が有利になるためだとか、労働者搾取しようという意図があるからではありません。

企業労働者の間に起きるトラブルを未然に防いだり、起きた場合は公平かつ迅速に対応するためです。

トラブルが少なく、起きてもすぐ対処できたほうが業務も再開しやすいですしね。

もし細かい規約必要でない場合があるとするなら、それは“主要な規約部分”だけで企業機能すること前提です。

あいいでしょう、ということです。


いかがでしたでしょうか。

散々言いましたが、総合評価として『優良領主』の内容は、なろう系コミックの中ではマシなほうです。

かに、なろう系コミック界隈は低品質が目立ち、打ち切り休載日常茶飯事ではあります

編集は何をしているのか疑問な内容も多いのは確かです(特にモンスターコミックスあたりのレーベルは有名ですね)。

しかしは本作は未だに連載が続き、コミックス第7巻の発売も控えている程度には勢いがあります

なお、今回とりあげた箇所は本作の1話にあたるので、各WEBコミックサイトで試し読み可能です。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん