2023-03-23

トラウト「どうすりゃいいんだ…」

本拠地で迎えたドジャース戦
先発大谷が7回1失点、トラウトは3打数2安打1HR。2-7の惨敗だった

スタジアムに響くファンのため息、

どこからか聞こえる

「今年は大谷移籍だな」の声


帰り始める選手達の中、昨年のシルバースラッガートラウトは独り呆然としていた

プレーオフで手にしたい栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるリリーフ…
それを今のエンゼルスで得ることは殆ど不可能と言ってよかった


「どうすりゃいいんだ…」


どれくらい経ったろうか、トラウトははっと目覚めた


どうやら眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚現実に引き戻した


やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」


立ち上がって伸びをした時、トラウトはふと気付いた



「あれ…?お客さんがいる…?」


ベンチから飛び出したトラウトが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった


星条旗が振られ、地鳴りのようにUSAコールが響いていた


呆然とするトラウト背中に、声がかけられた


「マイク守備だ、早く行くぞ」

声の方に振り返ったトラウトは目を疑った。


「ア…アレナド?」

「なんだマイク、居眠りでもしてたのか?キャプテンなんだからしっかりしてくれよ?」


「べ…ベッツ?お前はドジャースじゃ」

「なんだよマイク、今はTEAM U.S.Aだろ?」


ゴールドシュミット…」  

トラウトは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた


1番:ベッツ

2番:トラウト

3番:ゴールドシュミット

4番:アレナド 

5番:タッカー

6番:アンダーソン 

7番:シュワーバー

8番:リアルミュー

9番:ターナー

唖然としていたトラウトだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった


「勝てる…勝てるんだ!」


ターナーが満員のレフトスタンドに逆転グランドスラムを打ち込み、ベンチからグラウンドへ飛び出すトラウト

その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…


翌日、ベンチで冷たくなっているトラウト発見され、吉村村田病院内で静かに息を引き取った。

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