はてなはもちろんネット上でも忌み嫌われる「広告」だけど、私は昔から広告が好きでYouTubeなどで昔の広告を見て回ったり、コピー年鑑を読んだりしている。けど最近「まともな広告」に接する機会がとんと無くなったなと感じている。テレビを見る機会はそもそもかなり減ったけど、少ない視聴機会で出会う広告は皆芸能人が”これはこんな機能があるから買ってね!”をただ訴えているだけのつまらないものだらけ。新聞はそもそも読まなくなったので新聞広告に出会うこともないし、電車も乗る機会が減ったので車内広告を見ることも少なくなった。電車広告もまともな企業の広告が減り、山手線ですら整形と借金返済に関する広告ばかりになったように思う。そしてネットの広告はいわずもがな目を覆いたくなるようなものだらけ。一見素敵そうに見えるキャンペーンも、裏側のマーケの人間のドヤ顔が透けて見えるようなものも多くて、純粋に「この広告素敵だな」と思うことが本当に少なくなった。
「広告なんてそもそもくだらないものだよ」と言う人もいるだろうけど、昔の広告は社会を鮮やかに切り取ったり、社会に新たな視点を与えたり、下手な芸術作品より美しかったりと素晴らしいものも多く存在していたように思う。それによって商品や企業のブランディングも今よりもっと高次元で成り立っていたように感じる。雑誌「広告批評」が無くなって14年経つけど、今の時代の広告ではこの雑誌はそもそも成り立たないのだろう。日本経済が衰退したからなのか、日本の文化が衰退したからなのか、作り手や受け手の感性が劣化したからなのか。昭和から平成にかけて確かに存在していた「まともな広告」の消滅が寂しい。
JALとかANAとか資生堂とかサントリーとかSONYとかきれいな広告の印象