2023-03-02

幸せ人生

生活排水が垂れ流されている汚い川のほとりで育った。

小学校進学した頃に両親が離婚して、宗教に入れ込んだ母が選んだ土地たまたまそこだった。田舎の人が優しいなんてことは無くて、よそ者貧乏だったかキッチリいじめられた。

図書館図書室ばかり通っていて、本が好きだった。

大好きな本を虐めっ子に破られた時、図書館の人に泣きながら謝ったけど酷く叱られて、居場所がまた一つ無くなった。

空き家や古い家に囲まれた、奥まった駐車場で一人で座って過ごした。冬は寒くて擦り切れた手が痛くて、家に帰ると学校いじめられた姉が憂さ晴らしに私を殴った。

中学生になる頃、姉に反撃をしたら簡単に組み伏せられた。男に生まれて良かったと初めて思い、人に暴力を振るった事実は心をぐちゃぐちゃにした。

中学でも虐められて、無為に過ごした。不登校にだけはなるまいと、自分を奮い立たせ続けた。奨学金を借りて高校に進学した。バイトを始めて、初めて使えるお金を手にした。お金があると避けられる不便があることを知った。バイト先のまかないを貰ったとき、こんなにも美味しいご飯がこの世にあるのかと感動した。

ストレス栄養不足か、顔全体に吹き出物が出るようになり、顔面で赤くないところを探す方が難しいくらい醜くなった。これは5年後にタバコを吸い始めてから一気に改善した。醜い痕は無数に残っているけど。

コミュ障不細工運動音痴だったけど、本をたくさん読んでいたから、義務教育勉強はひとりでもそつなくできた。英語を使う会社高卒で滑り込んで、途上国勤務を命じられた。日本に未練が何一つ無かったから、二つ返事で了承した。お酒タバコけが拠り所だったけど、捨て猫を拾ってからは拠り所が増えた。物乞い以外に生きるすべを知らない子供をたくさん見た。俺は全然幸せだった。

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