子供を死産した父親がその子を火葬して遺骨と共に自転車に乗る話だ
男は子供が産まれる段階になっても父親となった気がおきず、子供に愛情があまり向かなかったようだ
だがその子供は出産直後に一度だけ産声をあげたきり亡くなってしまった
男は愛情のわかない子供の遺体引き取りや火葬などの行政手続きをするため書類を書くのだが、そこで子供の名前を書けと言われる
一瞬でも声を上げた子供は行政上はこの世に生まれたことになり、名前や戸籍を持つからだ
一度も目を開けず抱きしめてもいないで亡くなった子供の名前を考えるなんて馬鹿げていると男は感じたが、いざ書こうとすると亡くなった子が急に愛おしくなったようできちんとした名を与えたくなった