2022-10-13

糞食らえ!

これはフィクションです。

「【労働は1日8時間まで】と法律で決まっているのは何故なのか、今日初めて分かったよ。」

彼は27歳。今日人生で初めて肉体労働をした。

彼は生まれときから大卒比率都内TOPを誇る世田谷区に住み、小学校ではSAPIXに通っていた。

中高時代は同じく都内にある有名中高一貫男子校に進学した。同性しかいない、圧倒的に均一化された集団の中で順調に視野を狭めていった。

そして、周りと同じように東大に進学。

大学に入れば少しは環境が変わるかと思ったが、実際周りにいるのは同じように男子校で中高時代を過ごした、裕福な家庭の人間ばかりであった。

しろ、在籍生の1/4にASD傾向があると噂されるキャンパスでは、多様な人と関わる経験共感性といった能力は伸びることなく、同世代との差は広がっていった。

彼らは大学生活で生活費のためにバイトをすることはない。家庭教師塾講師などの頭脳労働はしても、立ち仕事を含む飲食店ティッシュ配りなどはしないのだ。

そうして彼を含む周りの人間は、自分の周りの狭い環境しか知らないまま、勉強経験値のみをカンストさせ、中央省庁に進み日本政策立案する仕事に就く者、日系大企業幹部候補生として採用される者など、文字通り【日本】を動かしていく人間になっていった。

「【労働は1日8時間まで】と法律で決まっているのは何故なのか、今日初めて分かったよ。」

暇つぶしで行ってみた交通整理の1日バイト

法学部のはずの彼は、そう言った。

司法試験トップ合格だったようだ。

彼は彼らの仲間と共にこの【日本】を動かしている。

そしてその目には貧困世帯地方過疎地域高齢者女性の姿は映っていなかった。

日本よ、これが真実だ。

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