20年は前の話なんだけど。弟が小学校低学年のとき、夏休みの自由研究で賞をもらった。
全校集会の際に表彰された。自分のことのように…自分のこと以上に、私はうれしかった。
私の弟だよ!!すごいよ!!って叫びたいぐらいうれしかった。叫ぶ代わりに手が痛くなるくらい思いっきり拍手したのを覚えている。
っていう、ほのぼの話をさぁ……両親にしたらさぁ。実はその裏話が過酷だったらしい。
セミが脱皮する様子を一晩中見守って、写真にとって感想と一緒に提出したものだった。そこまではいい。
「写真だけじゃなく絵に描き直してくれ。もちろん本人の手書き」
「文字も(略」
「家でやってくれ」
突如発生する夏休み1ヶ月並みの(は過言だけどまあそれなりの)作業量。
低学年の元気男児に。共働き家庭で、学童保育、食事や風呂…のあと寝るまでの時間。
「毎日、(弟)につきっきりになって。あなたには、ごめんねごめんねって言いながらやったのよ」といわれた。お、覚えてない…。
割と校風良かったのに……そうか……自由研究の賞ってそういう、大人ウケ・コンクールウケのために組み直されることもあるんだね。そりゃそうだ。
…いやまて。そりゃそう、か?それでいいのか教育よ。しんどいわぁ。
件の日、私は先に寝たけど、脱皮したてのセミの写真はとてもきれいだった。見知ったセミが、真っ白だと別の生き物みたいに見えた。覚えてる。
弟と両親で固唾を呑んで、カーテンに留まらせたセミを見守っていた背中も、覚えてる。
家族仲良さそうで、親にそういうのやってもらったこと全く無い身としては羨ましい。 自分の自由研究は、一人でやってたので途中で挫折した中途半端な何かとかを出してた気がする。
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