切っ掛けは、妻から暴言を吐かれてからだとはっきり認識している。
妻がブラトップを乾燥機に掛けたくないと思っていると知らなかったからだ。
妻は烈火の如く怒り狂い、こう言った。
この言葉に、僕はひどく傷ついた。
だが、男に生まれた僕には叶わない夢だ。
そして、愛しい我が子に、自分で乳を与えられないことが悲しくもある。
だが、乳の出る乳房を欲していても、ブラジャーのことは知らない。
妻がブラトップに対して抱いている思いは知らなかった。
乳房を持っていないからブラトップを乾燥機に掛けたのではない。
だが、「乳房を持たない」ことが理由だと言われて、ひたすら悲しかった。
ちょっと咥えてくれたが、すぐ「違う」という顔をされた。
それでもその時はとても嬉しかった。
もちろん、出なかったが。
今日、うっかりしていて、妻のブラトップを乾燥機にかけてしまった。
こっそりクローゼットに入れておけばバレないだろうと思う。
だけど、妻から「持たざる者」と言われたことをまたありありと思い出してしまう。
あの日、妻から「持たざる者」と言われてから、自分の乳房が憎くて仕方ない。
形だけで何もできない、僕の体を傷つけたい。
気持ち悪い