2021-08-09

おばあちゃんちのお風呂の話

小学校低学年の頃まで僕は毎年夏休みに、田舎にあるおばあちゃんの家に遊びにいっていた。

木造建築で2階建、そして1階には温泉のお風呂があった。

とても豪華なことに源泉かけ流しでそしてとても広い風呂だった。

子供2人と大人1人で入っても余りがあるくらいで、さら小学2年生の僕には足がギリギリつかないほど、とても深かった。

そしてそのお風呂は潜ると、「村」が見えるのだった。

どんな村だったか、いまだによく覚えている。

とても覚えやすい、単純な地形だった。

一番左に、大きな学校にあり、その近くに個人商店があり、そして右に行くにしたがって個人の民家が広がっていた。奥には病院があり、その先には森林が広がっている。

おばあちゃんちのお風呂に潜ると、そんな具合に、この村が上空から俯瞰できるのだった。

何度潜っても、いつでも同じ景色であり、それはとても当たり前のことだった。

小学生の僕はこの話を大人にしたが、誰も信じてはくれなかった。ただし、5歳の妹を除いて。

妹もお風呂に潜ると同じ景色が見えると言っていた。

この話を僕らが大人にしつこくするものから、近所の高校生のお姉さんが真実を確かめようと一緒にお風呂に入ってくれた。

「さあさあ潜って、潜って」と僕は大はしゃぎである。妹も同じように、はしゃいでいた。

お姉さんは「どれどれ〜?」と半信半疑でにやけた顔をしていた。

僕と妹とお姉さんで湯船に入り、いっせーので潜った。

僕にはいものように村が見えた。

隣には村を見ている妹が見えた。

そしてもう一方の、お姉さんの方を見た。お姉さんも村の方を見ていた。でもなぜかお姉さんに金のリング宝石ネックレスのようなもの身体に巻き付いていたのだった。好奇心からそれを取ろうと手を伸ばしたところで水面に引きずり出された。

「やっぱり何もないじゃない」

お姉さんはそう言った。僕は「あるじゃん!そこにあるじゃん!」と抗議した。妹も抗議した。

お姉さんは困った顔をして、それ以上は何も言わなかった。

結局、それでその場は終わった。

夜、寝る前に僕は気になっていた。

あの宝石はなんだったんだろうか、と。

妹にもあれが見えたのだろうか、そういえば抗議することに必死で聞きそびれた。

もう一度見えたりはしないだろうか、そう思って、夜中に1人でお風呂へと向かった。

おばあちゃんちのお風呂源泉かけ流しだったので、いつでもお湯が張ってあるのだった。だから夜でも朝でも入り放題であった。僕はみんなが寝静まった夜に、お風呂に入って、そして潜った。

村が見えた。

そして、宝石が落ちていくのも見えた。

宝石はみるみるうちに沈んでいく。僕はそれを追いかけた。

潜って潜って、手を伸ばした。全然手に届かなかった。病院の近くの標識の方へと落ちてくのが見えた。

息が苦しくなったので、引き返して水面に戻った。

もう一度潜った。

また宝石が落ちていくのが見えて、それを拾おうと必死で追いかけた。

でも息が苦しくなって引き返した。

僕はこれを何度かチャレンジして、無理そうだと諦め、布団に戻って寝た。

翌朝、妹が風呂場で溺死しているのが発見された。

母親叫び声で目が覚め、その後のことはあまり覚えていない。

誰もが泣いているなか、僕だけは泣いていなかったように覚えている。

僕だけが妹が死んだ理由をわかっていた。

妹も、あの宝石を追いかけたんだ。。。と。

あれから何十年も経った時のことだった。

彼女デパートを歩いていたら、催しで小規模なリアル脱出ゲームが開かれていた。

平日ということもあってか、並んでいる人は誰もおらず、僕は興味を惹かれた。

脱出率30%だって結構本格的じゃん、やろうよ」

僕と彼女は2人でその脱出ゲーム『沈んだ村から脱出』をやることにしたのだった。

ストーリーはこうだった。

これからダム建設が行われ、沈んでいく村があった。

誰もがこの村を愛していたが、特にその中でも1人の5歳くらいの女の子が村から離れないと言って聞かなかった。

からの立ち退きの日、その女の子が忽然と姿を消してしまった。僕たちはその女の子を見つけて、無事脱出することが目的である

その女の子はいつも「宝物(どんぐりや綺麗な色をした石など)」を村の至る所に隠して遊んでいた。僕たちはそれを最初に探し出し、そこから得られるヒントで女の子を探すというものだった。

僕は驚愕した。

手元の資料に書かれている村の地図が、まさにあの、おばあちゃんちのお風呂で見たあの村と全く同じであったからだ。

そして同時に、僕には「宝物」がどこにあるのかが全て分かっていた。あの風呂場で見た宝石が、だいたいどの辺に落ちていったか、全て覚えていたからだった。

病院の近くにある標識の横、学校の校庭、個人商店の鉢の裏、僕はなんのヒントもなく全ての「宝物」の位置ピタリと当ててしまった。

自分でも怖かった、なぜ分かるのか、なぜあの光景がここにあるのか、何もかもが分からなかった。

彼女スタッフは僕が当て勘で見つけているのだと思っているらしい。事実、確かに「宝物」がありそうな場所は10数箇所ほどしかなく、たまたま全てを見つけてしま可能性も、なくはなかったからだろう。

その宝石に書かれたヒントをつなぎ合わせると、「おばあちゃんちのお風呂の中」と読み解くことができた。民家にあるおばあちゃんちにいって、お風呂を覗くと、そこには泣いてうずくまっている女の子がいて、いい感じに説得して、一緒に帰るという流れで脱出成功した。

その女の子イラストも、妹に似ていたように僕には見えた。

妹はおばあちゃんちのお風呂の中にまだいるのだろうか。

とてもいるような気がする。

だけど、僕は忙しさにかまけて、まだおばあちゃんちに帰れていない。

  • ぱくってブクマもらって楽しいか? 増田から出て行けパクリ野郎 http://blog.livedoor.jp/yuno_miyako/archives/1072927695.html 2. ちぇん 2018年10月24日 17:07 話を面白くするために多少の脚色をしています...

    • 心配するな。冒頭から文章が下手すぎて読む気が失せたから。 小説でもライティングでも三行で価値を判断される暗黙のルールを知らない人なんだろ。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん