2021-05-30

[]anond:20210529112557

人生で初めて英雄になった

毎月25日に少ない給料の中でやる贅沢、王将餃子酢豚唐揚げを買って帰り、家でお気に入りの皿に盛り付けビールを飲む。

今月の25日もいつもの王将ネット予約をして受け取るためにレジに並んだ。

列が進んで、店員さんに俺が予約した増田ですと伝えようとしたその時、事件が起きた。

身長190近くあろう大男とほっそい腰巾着のようなチンピラが割り込んできた。

「これ持ち帰りの列やろ?俺ら会計

「お会計お客様もお並び頂いております

「は?会計やぞ?」

関西弁の大男がイキり散らかしている

先に外に出た腰巾着チンピラに「会計も並ばなあかんらしいぞ?そんな店聞いたことある?」

腰巾着は「もう払わんでええんとちゃいます?」とイキり返す。

そこで俺は

「どこの組のやつか知らないが、お前のところの親分社会ルールを教えてくれないのか?店には店のルールがあるんだよ。守れないなら来るな。そこからそこの金魚の糞、お前は一人で何も出来ないんなら黙ってろ」

とは言えなかった。

俺が取った行動は

「あ、自分後でいいんでどうぞ」

と言って列の最後尾に並び直したことだった。

我ながらダサいなと思ったが、並び直しさえすれば誰にも迷惑かけずにチンピラを早々に店から出すことができると考えた。

これは成功した。

チンピラはふてぶてしくも札をレジ担当に放り投げ、おつりを奪うようにして大股で店を出ていった。

俺はちょっと恥ずかしい思いをしつつも最後尾にいたんだが、店中が俺を見てる。

拍手喝采

とまでは行かなかったが、近くの人に兄ちゃんやるなと言われたり、店員さんには凄く感謝された。

列の前にいた人には先にどうぞと言われ、視線を浴びながら餃子唐揚げ酢豚を受け取った。

レジ担当の人は一番お礼の言葉を言ってくれた。

「いえ、なんにも考えてないんで」

咄嗟に出た言葉だったが我ながら控えめで良いなと思った。

店を出る時、テーブル席の少年が手を振ってきたので親指を立てて店を後にした。

この帰路はもう最高。

己の咄嗟の起点を振り返り、拳を振り上げたままおめおめ帰るチンピラの後ろ姿を思い出す。

家に帰ってセッティング。いつもの王将中華魔王を倒した後の打ち上げ会場に見えた。

食べながら、寝る前も次にああいうことがあったらこうしようとか、王将ロゴが俺の顔になる別エンディングまで妄想

学校会社とロクな成績を残してこなかった。良い意味で注目されることもなかった。

別に勇気を出したわけでもないが、自主的な行動が初めて評価された瞬間だった。

こんなことはもうないかもしれないけど、このことを思い出すたびに生きててよかったと思えるような体験だった。

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