ちょっと相談したいことがあって、連休中のある日、なじみのカーディーラーをおとのうた。
頻繁に新車を買い替えるでもなく、古いクルマをだいじに乗っている、つまりたいした儲けにならない俺のような客でも親身に世話してくれるいいディーラーである。
けれど、いつも俺のクルマの面倒を見てくれる担当サービスマンはこの日はとても忙しそうだった。
(えっ、この子が?)と内心一瞬ひるんだ。
彼とは昵懇で、メカにガチ詳しいのは当然のこととして、俺の知識レベルや、俺のふところ具合、クルマに対するスタンスをよく理解してくれていて、プロとして過不足ない助言をしてくれる。
その彼が自分の代わりに推薦したスタッフなのだから、女性だろうが若かろうが、いったん「信頼できる相談相手」として乗っかろうと決めた。
この判断を一瞬で下せてよかったと思う。(えっ、この子が?)と内心一瞬ひるんでからコンマ数秒だったと思う。
若い女性担当をあてがわれたことへの驚きや失望といったものは、表情にも声色にもいっさい出なかったはずだ。
そして実際、若いから女性だからと見くびるような態度で接していたら大恥をかくところだった。
彼女は間違いなく、大のクルマ好きメカニックだった(俺の見立てだけど)。
ただ、メカに詳しい人からメカの話を聞くのは大好きだし、基礎知識はそれなりにあるので詳しい人から興味深いメカの話をどんどん引き出す質問力には自信がある。
彼女は質問すればするだけ興味深い話が返ってくるタイプだった。
ちょっと開けて見せてくれる引き出しから、知識の広さと深さがうかがい知れた。
一問一答で会話が終わるタイプではなく、周辺知識、関連情報、似た話などをスルスル出してきて展開できるタイプ。
そしてなにより、クルマの話をするのがうきうきとうれしそうだった。
ここに書きとめたい名ゼリフが短時間でいくつも飛び出したが、メーカーや販売店が特定されかねないので控えたい。
ともかく、男のテリトリーというイメージが強い自動車整備という分野で若い女性がいきいきと働いていることがうれしかったし、幸い態度には出さずにすんだ(と思う)が一瞬でも「若い女性が?」と見くびりかけた自分が恥ずかしかった。
自分の中にはマンスプレイニングおじさんがいて、隙あらば顔を出そうとする。その自覚はあるし、常日頃こいつに顔を出させまいと心がけている。間違ったバイアスだと理解しているから。
心の中のマンスプレイニングおじさんは、当然、いないのが一番いい。
バイアス修正などかけずとも、誰に対してもニュートラルに敬えるのが一番だ。
しかし一度住みついたマンスプレイニングおじさんを追い出すことなんてできるのだろうか。
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コメント返しなど
バイアス・偏見って経験、つまり自分の過去の記憶じゃん、それを失くすなんてムリムリ! ・・・間違えるたびに修正訂正して生きてくしかないんだよ
無理だと思う。 結局染み付いた差別とか偏見って、そいつが死ぬときにこの世から死ぬと同時に持ち去ってくれるだけなんだよ。 九州の血筋のバックボーンを持ち、満州で生まれ、死ぬ...
マンスプレイニングおじさんは鼻の下あたりに住んでるヘルペスみたいなもんだよ。 何度でも出てくるから出てくるたびに痛めつけてしばらく黙らせるしかない。
偏見なんてあって当然、相手のことを知らないんだから。 その評価をどう改めるかが大事
女性整備士って今じゃそこまで珍しくないと思ってたけど 都会だとレアなんか?
ジェンダーお悩み相談所で妙齢のお姉さんが出てくるかと思ったらメッチャ詳しいおっちゃんが出てきた時の驚き
メインテーマについては、みなさんの温かいコメント・厳しいコメントでたくさん勉強させてもらいました。ありがとう。 ほかに、off-topic なコメントについていくつかコメント返しをし...