「えっ、なんで今謝ったの?」っていうタイミングで謝る若手がよくいる。
男女を問わず、新卒1年目とか2年目とかのクチバシの黄色いやつに多い。
みたいな当人には落ち度のない指摘に対しても、いちいち謝ってくる。
叱責するつもりではないのでこちらのトーンはあくまでもニュートラル。
日常の事務的な手続きとして「これお願いしますー」「あっはいー」くらいでいいのに、「申し訳ありませんでした」とか言われるとモヤモヤする。
そこ引っかからなくていいよ。結果として俺が理不尽なこと言ってるみたいになるからやめてほしい。
なぜ彼らはすぐにペコペコ謝るのか。
萎縮しているのだろうか。
それはまあ、ありそうな気がする。慣れない環境で、なんだか怖い見た目のおっさんから何か言われたら、それが何であれ反射的に謝ってしまうかもしれない。シンジくんがアスカから怒られてたようなやつ。
まあ新人さんが最初からあまり堂々としててもそれはそれで「この子大丈夫かな?」ってなるし。
俺が心配なのは、訂正や修正を頼まれることがすべて悪だと思っていないか、ということ。
少し話はずれるが、近年、批判的な意見はすべて自分に向けられた攻撃と受け取る若者が増えているという。
討論の中でかわされる論点吟味のための正当な批判ですら過剰にネガティヴに受け取る層がいるらしい。単純な誤りの指摘ですら「ディスった」ことになってしまう。SPEEDの今井絵理子が「批判なき政治を!」とか口走ってぶっ叩かれてたのもおそらくこの文脈の批判(=攻撃)だと思う。
手続きとして踏まれるべき批判プロセスは、するほうも別に相手が憎くて批判しているわけではない(必要だからそうしている)し、受け取る方も「そう言われりゃそうだ」とか「いやそのご指摘はあたらない」とニュートラルに反応すればいいものであって、けなされたと受け取るのは筋違いである。
もしかしたら、すぐに謝る新人の心理はこれに近いのではないか。
手続きとして必要だから事務的に頼んでいるだけの訂正や修正の依頼ですら彼らは理不尽なクレームのように受け取って、「自分の落ち度を責められている。とにかく謝らなければ」と思っているのではないか、という疑念がぬぐえない。
裏返せば、「間違ってたくらいで訂正を頼んでくるなんてひどい」と思ってはいまいか。
修正や訂正の指摘を攻撃とみなしててもおかしくなくない? 百歩譲って「攻撃」とはみなしていなくても「叱責された」と受け取る人はいてもおかしくない気がする。
怒ってもいないのに怒ってることにされちゃかなわんのよね。
訂正や修正は、それをすることで成果物の品質が間違いなく一歩向上するのだから、ポジティブなこととして歓迎してほしいのよね。
プログラムのバグも、出せば出すほどプログラムの品質が上がる。なので組んだ人間としてはチェックをする人になるべくたくさんのバグを見つけてほしいと思ってる。バグ入りプログラムを組んでしまうのは落ち度だけど、そのバグを見つけて潰すのは喜ばしいことなのだ。
もっとも、「訂正=悪」みたいな馬鹿げたスタンスだったとしても、1年もすればなんとなく仕事の進め方を学び取って、必要もないところで謝るようなことはだんだんしなくなっていくんだけどね。