2020-11-12

ドローン戦争の道具になるのが悲しい

知り合いのドローンレーサーがドローン兵器パイロットになるために引退した。

ドローン次世代レースマシンだと俺たちは信じていた。

アレースより安全で、F1よりもテクニカルで、技術と知恵とセンスがぶつかり合う最高のマシーン達。

でも、それは全部戦争の道具だった。

異常な速さで進むドローン開発競争の裏に、莫大な軍事予算の投入があった。

1gの軽さはスピードの追求のためではなく、積載量の増加はチューニング可能性を示すためではなく、兵器としての実用化を目指した道の上にある通過点だった。

俺たちが嬉々としてドローンを飛び回らせたデータは、新しい玩具の開発のためではなく、兵器運用テストデータとして蓄積されていた。

リングをくぐり、風に乗り、コーナーを曲がるたびに、ドローンは少しずつ、戦場戦車や人を殺すための機械として完成されていった。

スピードを競った友は、今は撃墜数を競っているのだという。

コントローラー越しに魂を預けたマシーンの死さえ、戦場では只の数字に変わる。

世界最速を目指した指先が、敵兵士の命を刈り取るとき、あの駆け抜けた小さな空は、巨大な制空権争いの下で意味を失う。

ドローンレーサーは、兵器開発の請負人、そして、殺人兵器パイロット候補

信じていた未来はどこにもなかった。

戦争のための戦争のための兵器による戦争を、レースだと信じていた俺達が馬鹿だった。

ドローンは、コロシアイの道具なんだ。

レースマシンなんかじゃないんだ

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