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「恋の正面衝突(フロントエンド)
本文
私こつぶ!今を時めく38歳OL!
最近七味づくりにハマってて、気づいたら朝になっちゃってたの!
「も~、目覚まし仕事してよね!」コツン☆
ガシャン
私は、ミッフィーの口の部分が針になっている時計を少したたいた。
「いっへひはーふ!」
私は七味によく合ううどんをすすりながら、最近電球がキレて薄暗い玄関を飛び出した。
「急げ急げ~☆」ドスッドスッドス
『オイ危ねえだろ!!』『ウワァァァァ!!!!!』ガシャン!!
『巨人...巨人だ...!!』『死ぬな!死んじゃだめだ!!クソッ!!』
朝の街がどんどんにぎやかになっていく感じ、あたし大好きなの!
――
「キャッ!」ドスンベシャ
も~うどんこぼしちゃったし、イチゴパンツ丸見えで転ぶし、今日マジでチョベリバって感じ!
「いったぁ~い!どこ見て歩いてんのよ!」
見上げるとそこには燕尾服を身にまとった、うどんまみれのロマンスグレーの男性が手を差し伸べていた。
やだ...ドタイプ///
ハッ!!
ばかばかばか!ときめいてるばあいじゃないの!すぐに会社に行かなきゃ!【納税の義務】をまっとうしなきゃ~~~!!
イタッ!
『みたところ足首をケガしているようですね。お急ぎですか?送って差し上げましょう。』(パチン
やだ、粋な計らい///
こんなところに運命の分かれ道があったなんて...思わず彼のリムジンに乗り込んじゃったけど、ドキドキで頭はじけそうだよぉ~~!
『おや?』
後部座席に座ると、隣の彼が急に顔を近づけてきた。
えー!待って待って心の準備がまだできてないよぉ!
『こんなところに、真っ赤なおべべのいたずらっ子がついていましたよ』
「え!?あ、いやだ。それ、手作りの七味です///」
『ほう、手作りですか。』ペロ
『うむ、味蕾を刺激する、良い七味ですな!』
キュンッ
「そ、それ、初めての七味だったんです」
『ほう、初物ですか。縁起がいいですね。』
わたし、会社で「行き遅れ幼女」なんてハードなあだ名付けられてるのに、こんなに幸せになっちゃっていいんですか~~!?
――
「あ、ありがとうございます!このお礼はかならず!」
『良いのです、そのかわり』
彼は眼帯のついていないほうの目、切れ味鋭い眼(まなこ)をやさしく垂らしてこう言った
『為すべきことを、為すのですよ』
勢いよく入ったオフィスには、みんなが起立して一人の男性を見ていた。
『本日付で総務課を取り仕切ることになりました。総務は地味な仕事ながら、七味で言う山椒のように重要なポジションです。皆さん、どうぞよろしくお願いします。』
「あーーーーーー!!!!あなたは、あの時の!!」
私は天井に頭をこすりながら彼のもとへ向かった。
「どうしてあの時言ってくれなかったんですか!?」
『ふふ』
そういうと彼は、もう一つの目にも眼帯をかけた。
もーー!!これから私のライフステージ、どうなっちゃうの~~~!!!!
一生続かない