2020-10-08

読書

休みは、いつも同じブックカバーをかけた文庫本を持って席を立つ。

同僚に「あんたいつも本読んでるね、そんなに読んでて図書館にでもなるつもり?最近おすすめの本なんか無い?」と言われた。


私におすすめできる本なんてない。

私はこの文庫本を2年間かかっても読み終えていない。


そもそも私は本の内容を読んでいるふりして、いろいろな懊悩を隠すための装置として使っているだけだ。

そして、この沖縄で買ったビンガタのブックカバーの手触りが好きなのだ

背表紙のところの指のかかり具合が好きなのだ

ボーッとしながらスリスリブックカバーを撫でているだけなのだ

「うーん、私は安い本買ってただ消費してるだけだからおすすめなんてとくに出せないな」と答えておいた。「おすすめブックカバーならずっと語っていられるんだけどな」という事は口に出せずにいる。

私にとって文庫本は、ブックカバー衣装としてのそれでしかない。台座でしかない。

文庫本を選ぶとき基準なんて、本の厚みくらいしか見てない。

ジョジョ漫画のどこかで、若い女性の手首だけを持ち歩いてる男の話があったことを思い出した。

対象人間でないだけで、私の行為はそれに近いのかもしれない。


ちょっと背表紙感覚が好みと違ってきたな」とか、「また買いに沖縄に行こうかな」とか、「ほかのブックカバーを探すために買い物に行こうかな」とか、

通勤電車の中で読むでもなくスマホと一緒に持っている文庫本感触を確かめつつ、そんなことを思った。

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