前回の続き。
広義的に「なろう的なフォーマットを主要に含んでいるマンガ」全般を指して語っているけれども、「なろう」自体が小説投稿サイトであることから、そもそもが小説のフォーマット。更に言えば「“そういったサイト”に沿ったフォーマット」なわけ。つまり、そもそもマンガ向きじゃないってパターンもある。ただ、「向き不向き以前に原作が酷い」ってパターンも多々あるのが、なろう系マンガの恐ろしいところで。
本記事はあくまでマンガの話なので原作そのものについての言及は避けるけれども、マジで「どういう判断でコレ売り出そうと思ったの?」って作品が頻発する。前回も書いたけど、こういったジャンルを“そういうもの”として割り切った上でなお酷いのが多いって話だからね。
当たり前だけれども小説と漫画は媒体が違うから、要求されることも変わってくる。原作にそのまま絵をくっつけただけでは漫画にはならないって事くらいは素人目にも分かるよね。
ありがちな失敗パターンとしては「絵は描き慣れてるけど漫画は描き慣れてない」って人が結構多い。構図が分かりにくかったり崩れていたり、コマ割がいい加減で目が滑ったり、構成ができてないから内容が頭に入りにくかったりする。まあ、そもそも絵自体そんな上手くないってパターンも多々あるけれども。
丁寧にやってる例として最近の作品から挙げるならば『狼は眠らない』とかかな。本作は漫画担当とネーム構成がそれぞれいるんだよね。つまり「絵を描き慣れてる人」と「漫画を描き慣れてる人」で役割分担しているわけ。なろう系マンガの失敗例から顧みれば、賢明な判断だね。
というか、一番の問題は粗製乱造する出版社にあると思う。「小説サイトでランキング上位になった。よしコミカライズしよう」ってノリで作りすぎてる。それを絵描きサイトとかSNSから適当に絵師引っ張ってきて描かせても、分の悪い賭けにしかならん。
編集もそういう時にさ、漫画家を選別するなり、指導するなりするもんじゃないの。これがオリジナルの漫画だったらさ、例えば持ち込みや、何らかの賞を取った漫画家に経験をつませて、編集部内で企画を練って、色々と相談してから商業レベルにしていくでしょ。それでも上手くいかないときがあるのに、その半分未満の労力しか費やさなければ、そりゃそうなるよ。
これらをちゃんとしているなろう系マンガは、どこかで不備があったり好き嫌いは多少あれど漫画としては良く出来てるんだよ。それすら出来ていない作品を世に出して、それで金取ろうと広告でゴリ押すんだから印象悪いけれども。結論としては一つ一つ丁寧な仕事をすればいいという、至極単純な話なんだよね。
なろう系マンガに関する、取り留めのない雑感。あくまで“なろう系マンガ”の話ね。 玉石混合 ~選別のスタート地点にすら立てない者たち~ 馴染みがない人にはピンとこない話な...
前回の続き。 原作の問題 広義的に「なろう的なフォーマットを主要に含んでいるマンガ」全般を指して語っているけれども、「なろう」自体が小説投稿サイトであることから、そもそ...