いつまでも記憶に負けていられない、今はそんなこと起こっていないじゃないかと奮い立たせ、自分を必死で元気づけることを続けてからしばらくは全く起こらなくなっていたから、すっかり油断していた。
もう10年以上も経っているというのに、どうして忘れられないんだろう。
ブスだと笑われ続けたこと。
教室に入るたび臭いと騒がれ、顔を顰められ、遠巻きに笑われ続けたこと。
優しい顔をして慰めてくれていたと思っていた人が、影では私のことを『臭いデブス』と笑い、馬鹿にしていたこと。
忘れた方が絶対に、確実に幸せに生きられるのに、どうして忘れられないんだろう。
『もう何年も経つのに未だに立ち直れないなんて、なんて弱虫なんだ、情けない』と泣いた親の顔が、忘れられない。
苦しみなんていらないくせに、『お前の苦しみなんて大したことない』と言われると悲しくなる。
本当にその通りだとしたら、どうして私はいつも死にたいと思っているんだろう。
どうして部屋で首を吊るための方法を淡々と考えてしまうんだろう。