2020-04-22

コロナにおびえず歯科医院に通おう。じゃないと死ぬよ?【追記あり

歯科医院に通う患者さんの数が減っています

もちろんコロナウィルス蔓延を防ぐために不要不急の外出は避けるという考え方は正しいものですし、最終的に来院するかどうかを決めるのは患者さん自身です。

しかしながら一部の報道等によってバランスを欠いた情報提供され、過剰に歯科医院への来院が抑制されることで、結果として患者さんの健康が害され命が奪われるのは本来あってはならないことです。

そこで、「歯科医院に通うことでコロナウィルス感染して死に至るリスク」と「歯科診療を延期することによって寿命が縮むリスク」を定量的比較してみました。


 歯科診療を延期するリスク:死亡率0.56%~9.44%上昇

 コロナによる死亡リスク 最悪ケース:死亡率0.0085%上昇

 コロナによる死亡リスク 現実的なケース:死亡率上昇は無視できる(死亡確率156億分の1)


【前提条件】

歯科診療で最も不急と扱われている検診・メンテナンスを延期した場合

・最も状況が悪い都道府県の一つである東京都感染者率を採用

東京都の平均年齢である44歳付近平均値として採用

ハーバード大学の試算である2年間のコロナウィルス蔓延歯科診療延期を仮定


結論としては、「歯科医院に通うことでコロナウィルス感染して死に至るリスク」よりも「歯科診療を延期することによって寿命が縮むリスク」の方がケタ違いに大きい(したがって延期期間が2年でなく1ヶ月の場合ですら圧倒的に歯科医院に通わないリスクの方が大きい)ということがあらためて確認できました。まあまともな歯科医師・歯科衛生士なら直感にわかっていることですが。

報道センセーショナルな内容で数字をとってなんぼなので、そのために人の命を奪うのはいものことですし、厚労省歯科医師会、大学病院にとっても、「歯科診療が延期されることで人命が失われても誰からも怒られないが、コロナウィルス感染者や死者が出るとすごく批判される」ので、自分の身を守るために診療を延期し患者さんの命を奪っているという現状もいたしかたないことなのかもしれません。

でも少なくとも、最前線で命を救っている歯科医師や歯科衛生士は、患者さんに正しい情報を発信し、いつも通り診療を行うよう努めたいですね。

患者の皆さんもおびえずしっかり歯科医院に通いましょう。


追記

1つ忘れてたので追記です。

歯科診療のうち特に歯周病治療糖尿病等を改善させることがわかっていますが、コロナウィルスの最大のリスク因子は糖尿病であるため、こういった口腔内の改善コロナウィルスリスクを下げる意味でも有効です。

コロナ以外の桁違いに大きい口腔内リスク改善のために歯科医院に通院するのはもちろんですが、コロナリスクを下げるためにも歯科医院に通うのがオススメです。


以下算出根拠

興味のある人以外は読まなくていいです


歯科診療を延期するリスク」の算出根拠

歯科診療で最も不急と扱われている検診・メンテナンスによる効果は長期的な歯の喪失の防止なので、『健康長寿社会寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス 2015』(日本歯科医師会から歯の喪失生命予後の数値を読み解く。

これによると、歯の喪失は死亡率を1.1倍~2.7倍に上昇させる、つまり10~170%の死亡率上昇を引き起こすとの結論に至っている。

平均余命 平成22年』(厚労省)によると、45歳の平均余命東京都の平均年齢である44歳付近採用)は36年間なので、この10~170%の死亡率上昇が36年間続くことになるが、一方でこれを引き起こす要因となる「検診・メンテナンスの断絶は一時的ものであり、今回は2年間と仮定しているので、[2年間÷36年間]の分だけ死亡率上昇が起こるものと考える。

したがって、

 10%✕(2年間÷36年間)=死亡率0.56%上昇

 170%✕(2年間÷36年間)=死亡率9.44%上昇

となる。


コロナによる死亡リスク 最悪ケース」の算出根拠

厚生労働省クラスター対策班の西浦博北海道教授が示された試算によると、「対策を全く取らない場合、約42万人が死亡する恐れがある」とのこと。

このうち歯科医院での診療受診によって感染する者の割合は(現時点では筆者はそのようなケースが見つけられないがそれだとゼロ%になってしまうので無理矢理ながら推定すると)現実的には数百分の1から数万分の1と思われるが、仮に「これ以上高いということはありえない」というライン100分の1と仮定する。

また、この死亡者は一度きりのものなので、一生にわたっての死亡率への寄与に換算する。

『令和元年(2019)人口動態統計の年間推計』によると年間死亡者数は137万6000人。平均余命は同様に36年間を採用

したがって、

 42万人✕(100分の1)÷(137万6000人✕36年)=死亡率0.0085%上昇

となる。


コロナによる死亡リスク 現実的なケース」の算出根拠

まず歯科医院でどのような感染が起こりうるかだが、まともな感染対策をしている医院であれば、治療のものにより患者さん同士の感染、もしくは術者から患者さんへの感染というのはありえない。もちろんゼロ%ではないが、現実的にありえないほど確率が低い。歯科医院では「すべての患者さんが何らかの感染症を持っている」と仮定し、感染が起きえないように強力な感染対策を常時行うのが一般的ポリシーからだ。(もちろん一部には院長・スタッフ無能さ・悪質さゆえに十分な感染対策が行われていない医院もないわけではないが)

したがって、仮に感染が起きるとすればただひとつ、「待合室で患者さん同士が接触感染が起きる」場合

コロナウィルス患者存在する割合は、最も状況が悪い都道府県の一つである東京都でも4/21時点で感染者は3,307-625人=2,682人、東京都人口(推計)は約1395万人なので、5,201人に1人が感染者ということになる。

したがって、「待合室で患者さん同士が接触感染が起き死亡に至る」には、ざっくりの推定


「5000人に1人しかいない感染者が」

5000分の1

体調不良をおしてなぜか歯科医院に来てしか奇跡的に医院でバレずに追い出されることもなく、もしくは無症状者で」

10分の1

「待合室で平均5分もない待ち時間の間に」※待ち時間については当院の場合もっと長い医院だと確率高まる

5分の1

奇跡的に知人などの関係で会話するなど濃厚接触の機会があり」

100分の1

しかもお互いに感染防止の意識が低くマスクもつけない・外しており」

10分の1

「実際に感染が起き」

10分の1

「死亡につながる」

50分の1

「通院を8回程度」(3ヶ月ごとメンテを2年間)

8倍


ので、156億分の1程度と推定される。

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