ご飯論法とは新語・流行語大賞にもノミネートされた用語で割とみなさんも知ってるものだと思う。
議論における言い逃れや論点のすり替えを表す言葉。たとえば、「朝ご飯は食べたか」という質問の「ご飯」を故意に狭い意味にとらえ、「ご飯(米)は食べていない(が、パンは食べたかもしれない)」と答えるといった具合である。2018年、法政大学教授の上西充子がTwitterに投稿したことから広まり、主に国会質疑で政権側が野党の追及をかわすために論点をずらしたり、ごまかそうとするのを揶揄する表現として使われた。同年、『「現代用語の基礎知識」選 2018ユーキャン新語・流行語大賞』のトップ10に選出された。
ご飯論法とはつまり、ことばを勝手に厳密に定義して、そこに当てはまらないものを切り捨てて、議論の俎上からごっそり引き抜いて終わらせるやり方ということだ。
一方で、最近の(特に先鋭化した)ツイフェミやアベ政権批判派の人たち(だけではなく、反フェミやネトウヨにもしばし見られるが、観測上はこういった人たちに多い)にもう一つのご飯論法(仮にアンチご飯論法)があるように思える。
B:食べました。
A:何を食べましたか
B:僕はパンを食べたけれど、朝食べるのがご飯とみそ汁じゃないといけないなんてのは日本人らしさの押し付けだよね、そもそもご飯よりもパンのほうが準備に時間もかからないし、洗い物の手間もかからない。ご飯だといちいちおかずやみそ汁を用意しないといけないけど、パンならトーストにチーズとハムをのっけて焼けばいいだけ。ジュースもあれば、栄養はほぼOKだ。なんで日本人はいつまでも白米にしばられているんだろう。それが日本の悪いところだと思うんだよ、そう思わない? ね、そう思うでしょ。みんなー。
A:( ゚д゚)ポカーン えっ、私はまあ、ご飯のほうが腹持ちがいいから、好きなんだけどさ…
B:だいたい、朝から腹持ちがいいものを食べたら、眠くなって朝の会議や朝礼に間に合わなくならない?そんなことやってるから、日本人の生産性はいつまでも上がらないで、欧米どころかアジア圏からも取り残されるんだよ、そうやって日本はもうだめになっていく。だいたい、そういう日本が素晴らしいなんてのを声高に言うやつら、僕は信用しないね。ああ、だから今の政権はダメなんだ、良識ある人間はいつもびくびくくらさないといけない。まったく、お前もそんなやつだったのか。残念だよ。
A:( ゚д゚)ポカーン うーん、ご飯派とパン派、どっちでもいいと思うし、私は特に眠くなる体質じゃないからご飯でも大丈夫なんだけどね。つまり、君はパンのほうがいいと思うんだね。
B:誰もパンじゃないといけないとは思っていない、でも、ご飯よりも優れているものがいっぱいあるってことを知ってほしいんだ、それをみんなが知らないのはあまりにも世の中腐ってる。そんな日本はダメなんだ。
A:( ゚д゚)ポカーン おっおおう。わかったよ。じゃあ、私会議に行くね…
元のご飯論法が文脈を厳密に狭めることで議論をストップさせるのに対し、このアンチご飯論法は
・相手が純粋な感想を述べると、それも全部つぶしながら、持論につなげようとする。
・論点を整理しようとすると、その整理すら間違っているといって、勝手に新たな論点を作り出す。