・ツイッターで何年もフォローしてたらいつの間にかフリーランスとして結果を出していた
・その間に自分も正社員になってるし戦っている場所が違うだけで大差はないのかも
それはまだ私達が大学生だった頃、お互いが大学を中退する前ぐらいのことだ。
インターネットではSNSという新しいサービスがナウなヤングにバカウケだったので、私達もアーリーなマジョリティの一団に紛れてそこに移住してきた。
現実では誰からも面白いと言われない下品な冗談と自己憐憫の繰り返ししかできない者たちが、クリック一つで手に入るふぁぼを求めて日夜レス乞食をしていた。
そんな中で私達は出会い、そしていつの間にかお互いにリアルでの交流もないまま十年来の友とも親しいなにかとなっていた。
ツイッターのブームが去り、やがて世間の流行りはLINEへと移っていく中で、私達は大学を中退したまま何者にもなれず相変わらずツイッタラーでクズのフリーターだった。
もしも違いがあるとすれば、彼にはゲーム・アニメ・漫画・インターネット以外の趣味があり、私にはそれが無かったことだ。
ろくな趣味もないくせにダラダラと時間を浪費し大学から消えていった私は、ニートとフリーターを往復する生活にも飽き、就職活動を本格的に再開することにした。
大学を中退した理由である所の卒業論文にまつわる苦労を薄く広く伸ばしながら上手い具合に過去研究の成果を自分がやったものであるかのように捏造しながら面接を繰り返すうちに、いつしかそれらは真実味をおび、その中で私は流暢に自分のやった研究を喋れるそれなりの理系人間であるかのようになっていくのだった。
そうしていつしか私は年収300万円ほどのしがない正社員となった。
その会社の片隅で、どこへも行き場のなくなった人生を抱えながら、いつしか年収450万円ほどのしがない係長として野原ひろしの凄さに感嘆しながら死ぬ人生のレールの上をゆっくり進みだしていた。
私が自分の人生を虚無の塊と見切りそれなりの人生へと落ち着いた頃、件のツイッタラーも別の場所で結果を出していた。
私がフォローする前から続けていた趣味の世界で10年20年とかけて十分な力をつけた彼は、自分の創作物を価値あるものとして世に売り出せる所にまで来ていた。
彼の作った作品のウチ1つ目が小さくバズったあと、彼は自身をつけたのかフリーランスとして仕事を取り始めるようになった。
フリーとして働きだしてからは、単純労働のバイトも辞め、いよいよその趣味一本で生きる人生を確定させていくのが遠くから見て取れた。
2つ目の製品がバズっていく頃には、一部界隈ではその製品名が彼の名刺代わりのようになっているようだった。
そして、業界内で普通に仕事を取り、ただただ好きなことだけをして暮らす人生のレールの上を走り続けていくのだった。
差がつきすぎていた。
大学でやっていた勉強のウチ、好きなことの抱合せでついてきた好きでもない分野を武器として、好きではないが出来なくもないことをして働いている。
得意なわけではないし経験があるわけではない、正直言えば興味もないしやる気もないので今後その中で一角の人物になることもないだろう。
虚無だ。
栄光を人生に求めるならどこにもたどり着けなくなったあとの人生だ。
ただ生きて死ぬだけのいまを生きている。
彼はどうだろう。
同好の士とリアルでも繋がりを持ち、公私の人脈を広げるなかで確実に居場所を確保していく。
手に職があることの強さを思い知らされる。
だが、ふと自分の素性を振り返ってみれば、私だって仕事がクソなだけでその仕事の中で人との付き合いはある。
居場所がないという訳ではない。
平日は楽しくもないが、土曜日と日曜日はあっという間にすぎる程度には楽しめている。
結局、アニメとゲームぐらいしかない人生だが、それらはどんな無能でも受け入れてくれる。
何も生み出そうという気持ちがないから、何も生み出せずに過ごしたことへの後悔は気の持ちようだけで晴らすことが出来る。
楽な人生だ。
彼の人生は、遠くから見る分には楽しそうだが、その中では苦労もあるだろう。
会社員のようにいざとなったら会社そのものが持つ人脈によって仕事をフォローしてもらってあとはいつの間にかどうにかしてもらうという必殺技もそうそうは使えまい。
私が椅子に座って自動で流れてくる仕事に手を付けていく横で、彼は営業活動をしたりフリーランスの募集に応募をしている。
お互いがお互いに人には見せないウンコを自分の人生の中でそっと一人どこかの便座に腰掛け下水道へと流しているのだろうか。
誰もが腹にウンコを抱えて生きている。
クソ袋達が街をゆく、その人生は平等にその腹の内側からクソにまみれていく。
そんな中で人が人と比べあって何になるのか。
パンティー
30,000行で
アニメとかゲーム好きな人って、「アニメやゲームしか」みたいに卑下する傾向無い? なぜ? 自信もって好きにすればいいのに。