https://anond.hatelabo.jp/20190519202053 の続き
端的に言って、業績のない研究室にはいかない方がよい。テーマがどれだけ合っても、研究論文を発表していない人間は研究者を辞めているのと変わらない。指導者としては絶対に選んではいけない。
研究業績は概ね研究室のウェブページに載っているが、ウェブページがなかったり、更新が止まっている場合は、以下のサイトが役に立つだろう
Google Scholar:author: “hogehoge” で検索すればhogehogeさんという著者名検索ができる
Researchmap (再掲):研究者のFacebook的なやつだ。
ResearchGate:研究者のFacebook的なやつ (こちらは国際的) だ。
まず注目すべきなのは、コンスタントに論文が出ているかだ。例えば、最後に論文が出たのが10年前であれば、それがその研究者の寿命だったわけだ。分野がどれだけドンピシャでも、そのような研究者の下で研究するのは勧めない。
・業績の質を吟味する
コンスタントにその研究室から、論文が出ているなら、どのような論文が出ているのかを精査すべきだ。インパクトのある研究をしているのかというものもちろん大切なのだが、あくまで過去の研究は過去の研究だ。これまでの研究履歴を見て、その研究室があなた自身のキャリアに寄与してくれるような研究状況にあるのかを見定めることが大切だ。
例えば、「過去の研究の焼き増しを続けているだけではないのか」という点に注目しよう。残念ながら、教員が自身の大学院生時代の頃のテーマを引きずって、代わり映えのしない研究を20、30年と続けているケースは実在する。もちろん、長年の苦労の末、大発見をするというケースもあるのだろうが、大半は単に最新の研究をインプットをしなくてなって久しいだけだ。つまり、研究者として賞味期限が切れてしまっている。そういう人のところに行くと、あなたは間違いなく腐る。なぜなら、その手の教員は「新しいもの」が嫌いだからだ。なので、あなたが面白いと思って見つけた新手法や現象、アイデアを持ってきても、気の無い返事をされるだけだ。
国際誌に論文を発表するのが当たり前な分野で、和文誌の論文でのみ書いている場合、完全に赤信号だ。論外なので、その研究室で博士課程には絶対に上がってはならない。そこに進学しても大した業績もなく博士生活を終えるだろう。28歳無職爆誕の時である。
科学研究の過度の業績偏重主義自体は、これはこれで問題であるのは私も思うところだ。しかし、博士院生が育つのはやはり、研究の立案、遂行、発表、そして論文化の一連のプロセスの中にあると思う。従って「院生に業績を出させる」能力があるのは、指導者として必須の資質なのだ。
まとめると、結局は主観的な言い方になるのだが、その研究室の論文を読んで「革新的だ」「分野を前進させている」「意欲的な研究をしている」とあなた自身が感じるかどうか、再三自問した方がよいということだ。
研究論文が出ていても、それが学外の共同研究者との研究ばかりで、そこの院生の研究でない場合もあるので注意した方がよい。この状況が生じるのはやや特殊だが、「教員本人は優秀だが学生がいない」あるいは酷い場合「指導があまりできていない」といったことが考えられる。研究室のウェブページには、概ね「メンバー」の欄があり、そこには所属している学生やポスドクの名前が書いてある。彼ら/彼女らの名前が「業績」欄に載っているのかはチェックした方がよいだろう。それを見たら、概ねどれくらいのペースで各学生が論文を書いているのかも確認することができる。
細かいところだが、これも一応確認しておきたい。指導教員の年齢が定年間近の場合、修士までは受けれ入れられても博士では指導できないこともある。また、そうでなくとも、学位をとって独り立ちをした後も、元指導教員は一研究者としてもっともあなたを理解してくれる人間であるはずだ。そんなかけがえのない存在が、あとどれくらい研究の世界に残るのかは知っておいた方がよいだろう。
私の例だと、新進気鋭の研究者を選んだが、大御所を選ぶのはそれはそれで正しい。どちらが自分の合っているのかは自分で考える部分だ。結局はケースバイケースであるため、個別にきちんと候補研究室を吟味した方がよいのだが、一般論としては
メリット:
大御所研究室の場合、上記のメリットとデメリットを反転させて考えればよい。
最後に、ここまで注意深く研究室を選んでも、失敗することは十分にありうる。
そういうときはどうすべきか。答えは一つ、すぐにでも脱出してほしい。
脱出先は、就職活動でもいいし、研究を諦めたくなければ他の大学院を受け直すのでも構わないと思う。
劣悪な研究室に長く滞在すると、人はゾンビ化する。学会に行けば、ゾンビ化した院生は必ずいるので、研究者諸氏には実感があると思う。
といった特徴がある。
・あの手この手で止めてくる
劣悪な研究室では「ここで逃げても何も得られないよ」「ここでダメならどこにいってもダメ」「とにかく手を動かせばいつかは報われるよ」「未来のことは考えるな、目の前のことに集中しろ」と、さながらブラック企業の上司のようなセリフを吐いてくるらしい。
当然、全力で無視した方がよい。
「あれ?私ゾンビ化している!?」と自分で気づくことができるのは稀だ。大抵、他の大学院の人間と会話する中で「もしかして、今の状況はおかしいのかもしれない」と感じる。
従って、他大学の人間と繋がりを持っておくのはとても重要だ。悪い教員は外との交流を持たせたがらない傾向がある。学会での懇親会や、研究会には積極的に出よう。それならば、教員としても止めようがない。とにかく、サードオピニオンを得る機会を作ろう。
随分長くなってしまったが、これで終わりだ。
この記事で読んで、良い指導者に巡り会える人が一人でも増えたら嬉しく思う。それと同時に、全ての研究室の健全化が進み、このような記事が不要になる未来を願う。
https://anond.hatelabo.jp/20190519190721 の続き ・その研究室の院生と会話をする 首尾よくそこの院生を紹介してもらえたら、教員には聞きづらい研究室生活のリアルを存分に聞こう。就活で「...
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