あんなにも行きたくて行きたくて行きたくて、でも行くことが出来なかったフェアウェルパーティの招待状を、こんなにも簡単に手に入れてしまったことに少し戸惑って、それからようやく気が済んだ。
フェアウェルに行けなかったことはずっと私の中でわだかまっていて、そのせいで綺麗に卒業出来なかった。
ラブアンチになる前に、別の好きな人を見つけられたので、私も大概薄情だなって思うけど、これも自衛なんだと思う。
これ以上傷つかないために。
前を向いて生きて行くために。
気が済んだので、せっかく頂いたご招待は、お断りします。
そこに行けば贔屓に会えるだろう。
贔屓が私を拒んだその場所で、あなたではない人のためにフェアウェルに出向いた私があなたと出会うというその倒錯した場面を想像してはゾクゾクした。
あなたは私を拒んだけど、あなたではない人のために私はここに立っているのだと見せつけたかった。
いや、贔屓は私のことなんて顔も知らないだろうけど、でも関係者達には分かるはずだし、そこにいるはずのない私がいることでビックリさせたいという意地悪な想いもあった。
でも、もう、気が済んだ。
フェアウェルの会場に立つためには少なくない金額を支払わなくてはならない。
私は贔屓のためにそれを払いたかった。
でも断られた。
腹いせのために、あなたが拒んでも私はここに立つことが出来るのだと言いたくて、それだけのために大枚をはたく覚悟ではあったけれど、いざその金額を目の当たりにするとふと正気に戻ったのだ。