2018-04-08

子ども子育て支援制度という難題と今後の展望

平成27年度から子ども子育て支援制度が始まった。

就学前のお子さんがいる世帯で、一番気になるのは認可保育所地域型や認定こども園等も含む)への入所が従来とどう変わるかだった。

概観の話をすれば、ほとんど何も変わっていない。

しかし、自治体施設運営している法人個人も含め)には大きな変化が2点あった。

保育所の利用が措置から契約へ変更されたこ

施設への委託費ではなく、児童(の保護者単位での給付費の代理受領となったこ

①については、26年以前は入所選考と言っていたものが、支給認定と利用調整の2つに分かれた。

旧制度では、児童福祉法により、保育園は様々な理由保育所を使う必要がある人に、自治体が「措置」として、保育所に入所させるという形だった。

認可保育所へ入る児童は、全員この形だった)

制度では、子ども子育て支援法により、幼稚園も含めて、保護者支給認定保護者)がどれくらい教育・保育を受ける必要があるのか「支給認定」を自治体申請して、支給認定証を受け取り、各保育所へ申し込み、施設と「契約」する形になった。

しかし、実際には待機児童と呼ばれる保育所に入る必要があるが、入れない児童がいる。

その場合には、自治体は「利用調整」を行える法律になっている。

まり、従来は「措置」で自治体選考基準を決めて、振り分ければよかったものが、全員が入れる前提の制度になったため、「支給認定」のみになったはずが、実際には入れない児童が生まれる現状があるので、「利用調整」を行う必要があるという制度である

大して変わっていないと思うかもしれないが、「支給認定」は幼稚園を使うだけの子どもにも行う必要がある。

それだけでも対象児童が増えた。

従来は「措置」だったので、自治体ごとに基準を設けていた。

また、「支給認定」は法律上の基準等があるが、「利用調整」には法律上の基準がなく、自治体ごとで設定する。

このことにより、「措置時代から使用していた自治体ごとの基準現在の「利用調整)と、「支給認定」の基準にズレが生じた。

これが結構難題で、本来であれば、「支給認定」を基に「利用調整」を行うはずなのに、旧制時代に作ったトリッキー基準を無くすこともできないため、自治体職員が混乱する事態になっている。


②については、自治体施設の双方が疲弊している。

いままでは、入所児童から換算して、自治体から施設運営法人へ概算払いを行い、実際の月別の児童数等を確認(途中入所や退所は自治体でわかる)して、清算する方法一般的だった。

施設職員向けの補助金等も、同様だった。

制度では、入所している児童ごとに給付を行い、それを施設代理受領している方式になった。

(この方式自体は、介護保険制度で行われており、健康保険制度でも一部行われている。)

しかし、そもそも保育所等を運営している法人は、事務職員が少ないため、新制度になって、毎月の給付費の請求事務が発生したため、事務量が増大した。

もちろん自治体職員である

子ども子育て支援制度は、介護保険と異なり、介護報酬にあたる「公定価格」の改定等だけでなく、職員への処遇改善など、様々な給付・補助が多く、また改定されまくるため、毎年、自治体施設職員が混乱している。


上記の2点から、今後の子ども子育て支援制度(いつまで新制度っていうのか謎)は、制度設計の基になったと言われる介護保険制度のようになっていくと思われる。

それは、運営法人の淘汰と大型化である

運営数が多ければ多いほど、②の事務負担を集約化、軽減できる。

今まで以上に、法人間のM&Aが行われていくと思われる。

①については、法人が大型化すると、園の運営効率化を超えて、硬直化したりするので、しょうがい児保育や医療ケア必要児童にとっては、難しい時代になるのかもしれない。

介護保険制度では、各サービスごとの給付だが、保育所では、通常の給付費+αのα部分が少ないため、運営法人としてほ旨みがない。寧ろ医療リスク事故リスクを考えると避けたいのが本音と思われる。

さてはて、これで認可外施設にも保育料無償化を推進したら、どうなることやら…

介護保険に置き換えたら、給付対象外の有料老人ホームに入った人が払う、毎月の施設利用料(家賃)を無料にするということ?

どうやって管理するんだ、これ。

そもそも大企業企業保育所も含めて、認可外保育施設の保育料も無償化という話が出始めてから積極的に認可外保育施設を設置し始めています

企業主導型保育所は、平成30年度時点では、施設種別では認可外保育所です。)

認可外保育所は、認可制度範囲外ですが、逆に言えば自由度が高いとも言えます

世田谷区にあるカドカワの認可外保育所など)

もし、この傾向が顕著になってくると、現在認可外保育所運営している法人は、認可保育所だけでなく、大企業運営する認可外保育所との競争にもさらされます

認可保育所は、ある意味、国の庇護の下ですが、認可外保育所自由競争です。

認可外保育所の動向についても、今後気になるところです。

取り留めもなくてすいません。

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