2017-12-26

別冊図書館戦争水島弱者男性弱者女性論について

有川浩の人気シリーズ図書館戦争」の別冊Ⅱに水島というキャラクターが登場する。

郁の後釜で柴崎の同室となった女子容姿は地味。性格は卑屈でコミュ障KY友達は少ない。真面目なだけが取り柄だがそのKYなまでの真面目さで柴崎からひたすら疎ましがられる。そして卑劣犯罪に手を染め、供述で痛い勘違い女ぶりを披露し、誰から共感されない惨めな悪役として終わる。

その散々な描かれ方に、水島気持ち悪い嫌いという声に混じり、同じく地味でコミュ障自称する女性読者から水島同情論」が聞かれたりする。(私もその一人だ。彼女達の発信を読むまでは、作中の嫌われ者水島に同情し柴崎に対して僻む自分を認めたくなく、「じ、自分はここまでじゃないし!…多分」と思い込もうとしていた)

しかしその同情論は、あくまで卑屈で真面目なだけに大それたことはできないはずの水島に対してであり、卑劣犯罪に手を染めた勘違い女水島に対してではない。正直私も、卑屈な筈の水島自分手塚に愛されてると思い込み柴崎に対してあれ程固辞していた呼び捨てをしながら嫌悪侮蔑を容赦無く露わにする様は、これまでの水島キャラとちぐはぐな印象を与えた。「有川は嫌いなタイプをとかく貶めたいがためにキャラに合わなくとも悪者にすりゃいいと思ってんじゃないか」とすら思った。

でも水島供述を読んでいると気づいた事があった。柴崎言動全てを悪く受け取り、「柴崎はズルい」「美人からって」「チャラチャラしている。手塚さんに相応しくない」と僻む様が、「真面目で不器用で善良な俺達がモテず、悪いイケメンヤリチンチャラ男DQNばかりがモテる」と僻む、ネット自称弱者男性に重なったからだ。

水島弱者男性女性版だったのだ。いやもう、こんな言い方しないで弱者女性と言おう。

そう考えれば納得できる。「ネット上のおまえら現実おまえら」のように、水島も影ではいくら柴崎を悪し様に言えても貶められても面と向かってはおどおどするしかない。真面目なだけが取り柄で、恋愛面でも真面目に努力してきたつもりの彼女にとって、美人簡単に近づける柴崎存在は「ズルい」と思えたのだろう。

水島弱者女性問題についてこのブログが参考になるだろう。

若い女性に多い自殺願望☆地味な女子は負け?『別冊図書館戦争2』と座間遺体殺害された女性被害者について」

http://urx2.nu/HJP5

柴崎手塚のような、顔が良くて優秀で皆に好かれる強者女性強者男性は正しくて幸せになれて、一方水島のような弱者女性(や弱者男性)は悪役で惨め。残酷な程の対比は、水島タイプ弱者女性を益々卑屈にさせる。有川浩はこれに限らず、男女共に対してマッチョ主義な所がある。主要登場人物大抵顔が良いし。

弱者女性弱者男性はその境遇ゆえにコンプレックスを抱え、性格がひねくれているかもしれない。好かれないのも仕方ない。弱者男性のお友達になると言ったエマワトソンも手に追えないだろう。では、彼ら彼女らが救われる方法はないのか?

私はと言えば恋愛友達も諦め一人の気楽さを満喫している。しかしそれは多くの弱者男女にとって救いではないのだろうな。

  • 実際にそんな弱者女性見た事ないけど… よくある「男性ならよく居るキャラを敢えて女性に演じさせてる」ってやつじゃないの? オタク男向け作品に出て来るオタク女子(所謂腐女子と...

  • 悪役はかっこ悪い属性を雑に全部盛り!みたいにする作品嫌い その悪役の心情とか生い立ちとか価値観とか、ちゃんと一人のキャラとして考えてない感じがする

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