2017-10-18

忘れられないムスリム女性

忘れられない女性がいる。

彼女とは三年前にニュージーランド留学したとき出会った。確か昼休み日本人留学生同士でつるんでいたときに声をかけてきたグループの中にいたはずで、私は一目見ただけで彼女の魅力にやられてしまった。

他の女子階段を少し登れば下着が見えそうなぐらいの丈に対して、くるぶし十センチ上まである少しタイトな長いスカート。その下に更にタイツを穿いて10センチほどあるチャンキーヒールの黒いサンダルを身に付けていた。頭にはもちろん黒いヒジャブを巻き、鼻には小さく鈍く光るピアス、顔は太くて長いアイラインと

シルバーアイシャドウが目立つメイクを施していた。

顔はそれほど美人ではないし、わかる範囲でのスタイルも取り立てて誉める所はなかったのに、とんでもなく魅力的で、洒落ていた。彼女と近くにいたのは一分二分程度だったのに、強く印象に残った。

それから日経って同じ科学クラスだと知ったときは嬉しかったなあ。

彼女は口数が少なくていつも静かに微笑んでいた。仕草もどことな上品で、ミステリアスビューティーという言葉を使うに相応しい人を私ははじめて知った。私は彼女勝手にいたく気に入って、見かける度に声を掛けて手を振った。それに対していつも微笑んで手を振り返してくれた。嬉しかった。

仕草と見た目こそミステリアス雰囲気を漂わせているもの音楽食べ物の好み、仲間内で話している内容は普通女子と変わらず、私がミステリアスビューティーで素敵、と言ったときにはものすごく照れていた。小さくthank youと言っていたのはメチャクチャ可愛かった。

いつだったか好奇心に駆られて髪の長さを訊ねたことがある。腰より下まである長さで生まれときから伸ばし続けていると話してくれた。その時私は猛烈にヒジャブの下を見てみたくなった。女同士、どうにか見れないものかと考えたりもした。もちろんすぐに諦めたが。

ニュージーランドでも日本に帰ってから彼女以上に魅力的な女性は見ていない。

私はレズビアンではないけれど、彼女の夫になるひとが少し羨ましい。

女性は肌を隠せば隠すほど美しいとは誰の言葉だったか。それを体現するような女性だった。

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