料理には人んちの味ってのがある。市販の味そのものだったり、薄かったり、やたら張り切っていたりする。好みに合うかどうかは別にして、よっぽどでない限りは「そういう文化」として扱っている。
お茶やコーヒー。時に最初から砂糖だのミルクだのを入れたのを供する家庭もあるが、基本的には角砂糖スティックシュガー等で各自調整させれば良い。問題はココアやカルピスである。作り方が単純で、濃度をこちらが調整しなければならないものたちだ。
友だちんちのカルピスの濃さ、それは小学生あるある。しかし実際に自分が供する側になると、これはなかなかに悩ましい。普段の濃度――カルピスの風味をギリギリ損なわない経済的かつ飲みやすい薄さ――ではダメだろうから濃くしなきゃならない。しかしどの程度にすればノドに塊が溜まらないのか。カルピスウォーターではまだちょっと濃いと思うのだ。ああ、カルピスウォーターを買えよと言うのか。原液を常備しているのにわざわざ買って来るのはシャクにさわるじゃないか。
ココアもウチじゃ砂糖は別に加えるタイプだから、どれくらいが普通なのかもう全然わからない。家の味はこうですとデンと構えていた母親のクソ度胸は大いに見習うべきだったとつくづく思う。あと、世の中に薄味がもっと広まればと思う。