2016-11-06

オタク文化セルアウトしたので内気な虫けらの居場所がなくなった

二次元文化が本当に好きな人ってどれくらいいるのだろう。

本当は好きではないのにアニメ声優ゲームでキャッキャしてるフリをしている人はけっこういたのではないか

そうすれば居場所が貰えたから。

現実においても自分精神アドレスが記入され、オタクというレッテルを貼り、それをアイデンティティにできたから。

二次元文化は、世の中に夢中になれるものがなくて、誰ともつながれない僕らの最後の居場所だった。

二次元オタクと言っても本当に好きなわけじゃない。

本当に好きな”真のオタク”の周りで、必死に付け焼き刃の知識をつけながら分かった風な顔して頷くしかない。

リア充のまわりに必死にしがみついてる、擬態した偽リア充を”キョロ充”と呼んだけど、同じように僕らは”キョロオタ”だった。

僕らキョロオタはお互いに心の目配せをしていた。

「わかっているよ、君も同じだろ」。

僕らははにかみなら必死お祭り騒ぎをした。

僕らを無限の無関心から救って、世の中につなぎとめてくれた。

二次元は僕らの居場所だった。

でも、この10年くらいで、二次元ライト層を大量に呼び込むようになった。

ライト層は、ものすごく器用に二次元を楽しむ。二次元で本当に素直に笑える。

人にも公言できる。アニメのグッズを身に着けて、堂々と町を歩ける。

彼らはなんて楽しそうなんだろう。

僕は二次元で心から笑っていなかった。僕は嘘をついていた。

そのことに気付かされた時にお祭りは終わった。

祭りの隅っこではにかみながらお互いを確かめあえた仲間たちは人混みに攫われて消えた。

今の僕に居場所はない。

僕が勝手にそう思っていただけで、居場所なんて最初からなかったのかもしれない。

二次元テレビで取り上げられ、市民権を得ていく光景をどこか誇らしく思っていた00年代が懐かしい。

自分世界承認されたように錯覚できたあの頃に、僕と世の中をつなぐ紐帯は擦り切れ始めていたのだなあ。

今はもう二次元に興味がない。

それは僕にとって世の中にも興味を失っていることを意味している。

ドラえもんじゃないけれど、僕は世界から1センチだけ浮いている。

つなぎとめる何かが欲しい。でもそれはまだ見つからない。

恋人でもいれば違ったのかな、と思うこともあるけれど、すぐにそれを打ち消す。

二次元への態度と同じように、僕は猛烈に燃え上がることが出来ず、恋に恋することしかできないだろう。

政治的主張レッテルにしたり、ビジネスパーソンレッテルにしようとしてもなじまない。

オタク文化を失った内気な虫けらは借り物のアイデンティティを求めて今日彷徨う。

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