現在の「マナー」というのは、電車の中ではお互いの存在を空気とし、お互いの空気が触れないように気づかれないようにするのが良いマナーと言われているような気がする。そうすれば効率が良いのは確かだろうが、人間は空気になれないし私たちは忍者でもない。現代は時間・金銭・精神的余裕を持てない人が溢れており、皆それを理解している。
昔、電車で隣に座った人が「すみません朝から何も食べてないもので…」と周りの乗客に断りを入れて菓子パンを食べていたのを見たことがある。その時の私は、マナー違反だと思うどころかそこまで言わなくても全く構いませんよ、と思った。たぶんそれは私という居合わせただけの赤の他人に気を使ってくれたからだと思う。断りを入れることは、他人の存在を認め尊重していることを示す行為であって、多くの人はそれを不快などと感じないだろう。こういったコミュニケーション不足がマナー違反を不快にさせている理由なのかもしれない。