2016-02-29

大人しい子には大人しい子のままでいて欲しい

大人しい子には大人しい子のままでいて欲しいと思うのは、オタク的な気持ち悪い思想だろうか。

その昔、数年前、好きだった子がいた。彼女はいわゆる「大人しい子」だった。お嬢様きな子で、どこか守ってあげたくなる気持ちを起こさせる子だった。深窓の佳人、良家のお嬢様といった感じに思えた。一目ぼれだったので僕は何度も彼女を誘った。デート食事には彼女も応じてくれた。映画を観たり夜景を見に行ったり、インドアイベントが多かったが楽しい時を過ごした。そんな付き合いを数カ月続け、いよいよお互い本格的な恋人同士になろうかという時期、彼女病気になった。やはり彼女は病弱だった。変な話そこも自分イメージする彼女のままだった。最初こそ療養中も連絡を取り合っていたが、彼女は本格的に入院・療養生活することになり、しばらく連絡を控えることとなった。ちょうど同じ時期、自分仕事の忙しさもピークに達していた。

しかし、連絡を取りあう時間が減るほど、お互いの気持ちは冷めていくのは仕方が無いのかもしれない。あれほど毎日していたメールも数は減り、数日に1度が1週間に一度、二週間に一度、月に一度と減っていった。彼女が療養しているまま、人事異動などもあり、お互いの物理的繋がりも離れ、疎遠になった。

この間、たまたま職場彼女とすれ違った。顔色はよく、動きも活発で元気に見えた。しかし僕は辛くなった。病弱だった頃のちょっと健康そうな顔から覗く笑顔は当時おそらく僕が最も見ていたと思うが、今、彼女はその笑顔を誰かれ構わず周囲に振りまいていた。今は健康そうな笑顔で。自分勝手ながら、嫌な違和感を覚えた。元気になった彼女は、さらにいろいろな部分でその存在を目立たせ始めた。もともと美人だったこともあり、彼女は瞬く間に人気者になった。少し前まで病弱なお嬢様だったという認識からギャップも、周囲が彼女に夢中になるには十分な条件であった。

でも僕は、この気持ちを率直に言い表すと、彼女がもう手が届かないところに言ってしまった気がして悲しくなった。あるいは、僕好みの彼女ではなくなってしまったことに悲しくなった。

病弱な彼女インドアイベントを楽しく過ごした、なんて過去は、他の人に話しても「ちょっと嘘でしょう?」的な雰囲気になっている。自分の中でだけかもしれないが。

要は、大人しい子が好きな自分勝手イメージを作り上げていた子が、実はそうではなかったというだけの話で、相手側や女性から見たら、まったくもって気持ち悪い話だと思われるだろうけど、でも、この気持ちをどう言い表せばいいのだろうか。適切な言葉が浮かばない。

別にもう、また彼女を手に入れたいとか狙いたいとかの気持ちではなく、それ以前にもっと根本的な願望として、「大人しい子には、大人しい子のままでいて欲しかった」というだけなのだが、あの大人しさは、何かこう、彼女に恋する僕が僕の願望フィルターを掛けていたことにより見ていた幻だったのだろうか。

自分で書いていてもキモイのでここで終わる。

読み返したら「狙っていた」って表現がどうにも気持ち悪いので「好きだった」に変えてみた。

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