2015-10-13

卵かけごはんと母の愛

子どもの頃から卵かけごはんが大好きだった。

お椀に卵を割って、カラザを取り除いて、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて、ごはんの中心にくぼみをつけて、そこに卵を流し込んで、醤油をぐるっと一周。ひと口食べてみて少し物足りなかったら、ちょびっとだけ醤油を足す。

これが美味しくて、大好きで、でも毎日食べると飽きちゃうかもしれないから、気が向いたときだけ卵かけごはんにしていた。

18歳になって、大学東京に出て一人暮らしを始めた。

卵かけごはん一人暮らしの強い味方だ。美味しくて、簡単で、すぐに食べられて、お腹いっぱいになる。

何か作るのが面倒なときはいつも卵かけ御飯だった。

一人暮らしを始めた頃はごはんと卵でお椀を分けていたのだけど、洗い物がひとつ増えてしまうことに気づいてからは溶き卵のお椀の中に直接ごはんをよそうようになった。

長期休暇で実家に帰ったときの朝、食卓はいものようにごはん味噌汁と、空のお椀と卵が置いてあった。

そういえば、昔からずっと、私が卵かけごはんを食べるときも食べないときも、毎朝私のランチョンマットには必ずお椀と卵が置いてあった。

母は、食べるかどうかも分からない卵を、私のために、毎朝必ず用意してくれていた。

溶き卵にしてからごはんをよそえば洗い物がひとつ減るのに、空のお椀を用意してくれていた。

せっかく用意してくれていたのだから毎日卵かけごはんを食べればよかった。

でも、食べないかもしれないのに用意してくれていたことに気づけたからやっぱり、食べない日があってよかったかも。

たまにはお椀を分けて作ってみようかな。

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