2015-09-23

心が叫びたがってるんだ。

言葉とは恐ろしいものだ。

ふと放った言葉で相手を傷つけてしまったり、

その後の関係が決まってしまったり...

幼い頃は特に、その怖さを知らずに放ってしまう。

自分が誰かの言葉で傷つくまで、知らずに放ってしまう。

子供の頃の世界はとても狭いもので、

そんな狭い世界では、言葉の持つ力はとても大きい。

「心が叫びたがってるんだ」はそんな言葉の怖さや大きさを突きつけられる作品である

主人公成瀬順は、父親の浮気をそれと知らず無邪気に母親に伝えてしまい、家庭が崩壊するきっかけを作ってしまう。

そして、母親の拒絶と父親の心ない言葉によって、深く傷つき、言葉を失ってしまう。

成瀬順は、ふとしたきっかから学校行事実行委員会に指名され、

その準備を通して、悩み、傷つき、成長していく。

坂上拓実は、本音をあまりさない平凡な高校生

仁藤菜月は、優等生であるが故に本音を出せない。

田崎大樹は、思いを怒りという間違った形でぶつけてしまう。

主人公の周りを取り巻くのはそんな等身大の悩みを抱えた高校生達だ。

本音を言えずに後悔することがあった。

周囲に合わせて本音を言えないことがあった。

どうしたら良いか分からずに周囲に当たってしまうことがあった。

そして、喋るのが怖くなってしまったことがあった。

多くの人が感じたことがあるであろうこれらの感情リアルに描かれる様子は、正直、見ていて胃が痛くなる。


言葉は傷つけるんだから絶対に、もう取り戻せないんだから。」


そう叫ぶ順は、私達に純粋ありのまま、突きつけてくる。

この苦しみを皆は知っているはずだと、それなのに忘れてしまっていないだろうかと。

そんな強いメッセージの一方で、高校生世界はやっぱりとても狭いものなんだと、

誰が誰を好きだと一喜一憂して、それが全てなんだと、その想いが乗る言葉は一層強い力を持っていたんだと、

等身大青春を思い出させてくれる。


良い映画だった。

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