2015-06-28

議院内閣制」を廃すれば解決

世襲を廃止」というのは官僚制度において、機能している。すなわちフルオープンな試験制度による人材登用。歴史的に見れば中国科挙に始まりフランスバカロレアイギリスのGCE、アメリカSAT、そして、それらを越えて遥かに客観的で公平な制度として日本センター試験があった。

官僚制度はうまく機能しない場合もあるのだが、それはおおむね選抜方法を変えることで解決できたりもする。

たとえば科挙。千年にわたって有能な人材を引き上げる役割果たしてきたが、あくまで「古典」への知識のみを重視したため、近代の急激な世界情勢への変化に対応できなかった。ちなみに、いま日本センター試験制度を大きくいじろうとしているのは、おそらくそういう配慮だと考えられる。

さて、よく「自治体首長政治家は、選挙によって選ばれているので民主主義だが、公務員はそうではない。よって官僚権力をもたせてはいけない。」と、いわゆる「政治主導」を正当化する意見があるが、いわゆる三権分立のうち、立法民主主義原則に基づくことは当然のこととして、他の二つ、すなわち司法行政は、いずれも「法」に拘束されるという時点で既に民主主義を基盤としているであるから、その担い手必要資質は、それぞれの「法」に関する専門家である、ということだけではないだろうか。というか、そうでなければ物事はうまくいかないのではないか。従って、その構成員試験によって選抜されることが重要だと思う。

従って、行政における「政治主導」というのは、個人的には百害あって一利無しだと考えるし、特に行政」においてその根幹を成す議院内閣制というものには、大変納得がいかない。たとえて言えば、与党の長(しか法律のこと何も分かってない)が最高裁判所長官を兼ねて、政治の都合であんな判決やこんな判決を出せと言っているようなもので(まあ「任命権」を通してそれに近い状況は事実あるのだとしても)、極めて不健全であるし、何より、「立法」の府がかくまで世襲に覆われている現状において、深刻な機能不善をきたしているのではないかと考えている。

というわけで、世襲より先に「議院内閣制」をやめ、現状のような立法府の極端な優越を避けることで、ゆるやかに「世襲うまみ」を削っていくことの方が重要ではないかと思うのだがどうか。もちろん、「試験に受かっただけの公務員権力を増やすのは反対」という意見は、それとしてあるだろうが、それなら「公務員」の選抜方法・育成方法も、合わせて検討し(それはどうせ必要なことだ)、適宜改革すればよいと思う。

http://anond.hatelabo.jp/20150628144540

記事への反応 -
  • 世襲でエリートの育成に役立たないのは真であるけど、 世襲を廃止してもエリートの育成に役立たないのもまた真だよ。 違う言い方するなら、世襲を廃止せよってのは、 世襲とエリー...

    • 「世襲を廃止」というのは官僚制度において、機能している。すなわちフルオープンな試験制度による人材登用。歴史的に見れば中国の科挙に始まり、フランスのバカロレア、イギリス...

    • 世襲制の廃止は多分無理。せいぜいイギリスだっけか?同じ選挙区の立候補を排除するくらい。 いや世襲と頭の良さはマクロ的に見れば無関係にひとしいということ。いや、エリート教...

    • 世襲制(今は終身制になったが)のイギリス上院が、もっともレベルが高い議論が出来てるっていうしな。 愚民どもの機嫌を伺いながらだと、どうしても次の選挙のことしか考えない政...

      • でも、今の日本の世襲の人間は「ノブレス・オブリージュ」とかないからね。華族制度を維持すべきだったか。でも最早今更どうしようもない。

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