2015-06-08

ダイナミックレンジ理解すると写真もっと上手くなる

写真ノウハウ的な記事最近やたらと目にしたのだけど、どこにも触れてなかった(ような気がした)のがダイナミックレンジという尺度だった。

これはカメラの持つ性能によって顕著な差がでるわけだけど、一番明るい部分から一番暗い部分までを再現できる性能だと思って欲しい。

例えば室内から窓の外を一歩ひいた位置から眺めてみるとする。

人間の目には明暗の差こそあれど外の風景も室内の窓の周辺も同時に認識することができる。

しかし、カメラにはそれができないのだ。

窓の外を写そうとすれば室内は黒く潰れてしまい、室内を写そうとすれば窓の外は白く飛んで写ってしまう。

この、最も明るい部分と最も暗い部分の落差をダイナミックレンジと呼び、その中で写すことのできる明暗差の広さがそのカメラがもつ性能の一つであり価格に色濃く反映される部分でもある。

あなたは人物を撮影するときに逆行と順光のどちらを選ぶだろうか。

この質問は、その人の写真に対する理解度を知る上でとても有効だ。

何故なら、ある程度の成熟した腕を持った人間であれば、よほどの状況を除いて逆光と答えるからである

逆光で撮影したら人の顔が影になって何も写らないと思ったあなたは、露出に対する理解を深めて是非写真技術の向上に努めてほしい。

一時期流行した表現手段にHDRといったものが挙げられる。

Hyper Dynamic Rangeのそれぞれ頭文字を略したもので、文字通り超越したダイナミックレンジ表現するための技法だ。

一枚の写真からそのような表現をする場合もあるが、主に露出の異なる複数写真を合成することで、白飛び・黒つぶれなく広い明暗差を再現しようという技術だ。

時にそうした明暗差が収まっている様子や色彩がデフォルメされることなから絵画的な表現をするときにも用いられていたが、あくま目的ダイナミックレンジを広げようということが根底にある。

昨今ではセンサーが改良されてきたことで、エントリー機においても以前では想像できないようなダイナミックレンジをもつ機種も登場するようになってきたが、基本的にはセンサーサイズに比例しやす技術のため、コンデジスマートフォンカメラにおいてはまだまだダイナミックレンジ限界を痛感する場面が多い。

さて、ここまでダイナミックレンジとは何かを書き連ねてきたが、写真技術の習熟度における白飛びと黒つぶれのなさは非常に重要だ。

最近ではレタッチソフトによって撮影後でもいくらでも修復が出来てしまえるように思えるのだが、残念ながらそこで失われてしまうのは豊かな階調だ。

とくに人間の肌ではちょっとしたノイズ作品の出来を左右してしまう。

後で無理矢理にレタッチするにしても、もともとの露出理解できているのといないのとでは大きな違いがある。

写真技術をいまより向上したい、とくに濃淡や階調の豊かさをもっと表現したいと思うのであれば、このダイナミックレンジという言葉をよく理解して欲しい。

それはカメラの性能によって大きく異なるものであり、それの傾向を理解することができればカメラの性能に合わせた撮影が可能になるからだ。

その手始めとして、日中の人物を逆光で撮影するにあたって身につけて欲しい技術日中シンクロというものがある。

日中の日が照りつける中、人物に向かってフラッシュをたいて撮影するという技術だ。

これを身につけることで、逆光の人物の顔が黒く潰れてしまうことを回避することができる。

まりは黒つぶれしてしまうだろう部分に光をあてることによって背景の明るい部分との明暗差を減らしダイナミックレンジに収めてしまおうというテクニックなのだ

この説明でピンときあなたはもうダイナミックレンジという言葉の半分を理解できたようなものといっていいだろう。

完成度の高い写真は、どれも当然のようにダイナミックレンジ理解した上に成り立っているといって過言ではないだろう。

そこにある被写体にただがむしゃらにシャッターを切るのではなく、被写体を取り巻く光と影に目を向けることでダイナミックレンジに収まるように撮り方を工夫することだってできるのだ。

手ブレ被写体ブレを恐れるがあまり思考停止状態でフラッシュを使ってしまってはいないだろうか。

ダイナミックレンジ理解できてはじめて、あなたフラッシュあなた写真をよりよく演出する素晴らしい道具へと進化してくれることだろう。


自分にとってはこのダイナミックレンジ体感的に理解できた時が写真品質向上の大いなるブレイクスルーポイントとなったのだが諸先輩方においてはいかがだったのだろうか。

  • ダイナミックレンジの扱いが巧い写真家を教えてください 

    • ダイナミックレンジ自体は技術ではなく性能だから露出が巧いっていう表現になるのかも。 デジタルじゃないけど、個人的にはアンリ・カルティエ=ブレッソンかな。 アンリ・カルティ...

  • ダイナミックレンジを体感的に理解、って何だよ ピンとこなさすぎ

    • 被写体と向かった時に、余計な明暗差を構図から外せるようになるってことかな。 どこが白飛びしてどこか黒つぶれしそうになるか想定しながら撮影できるようになるし、補助光を使う...

      • 確かに日中シンクロするけど、 それは普通の人がどんだけストロボまで用意して撮るかよ?ってなるじゃん。 話は分かるけど。 みんな今スマホが多いし、 そんなミラーレス、一眼持っ...

        • ライトがついてないスマホ、フラッシュがついてないデジカメのほうがむしろ少ないと思うのだけど。 最近の小さいミラーレスはそうでもないのかな?でもそれがデジカメの主流ってわけ...

          • iPhoneのフラッシュかライトはなかなかいいと思うんだけど(個人的には)、色とかもちょっと合わせてくれるし コンパクトの内蔵のじゃそのままじゃ結構難しいと思うので(個人的には...

  • 順光と逆光どちらがいいか。 これは「日の丸構図はありかなしか」という話と一緒で、単純に「逆光のほうがいい」と言ってしまうと誤解を招く。 恐らくはピーカン時など強い光源下...

    • 補足ふくめて敬服いたします。 この質問において「一概に」という言葉が出るか否かに実のところその人の写真理解度が現われると思っています。

  • なんか少しダイナミックレンジに対しての理解が変なようなきもするけど たしかにセンサ性能でダイナミックレンジは変わるし  センサのダイナミックレンジ性能を調べるときD3.5とか...

  • ダイナミックレンジを理解したら、次はデッサンだね。 写真にデッサン?と思うかもしれないが、ちゃんとデッサンのトレーニングをして美大に入って卒業したような人の写真は、やっ...

  • ダイナミックレンジを理解すると写真はもっと上手くなる http://anond.hatelabo.jp/20150608172212 そろそろブクマも落ち着いてきたのでここで一つネタばらしをしてみる。 じつはこの記事は、...

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