2015-02-15

100円ライター

昔、彼氏無職貯金も無かった時の話。

彼は元々デート代は男が払うもの、みたいな人だったが、その時は本当にお金が無くて、

デートする予定の日は、私が彼の最寄り駅まで行き、ICカードチャージしてあげてそれからどこかへ行ったりした。

彼は私がいないとダメなの、なんて思っていたわけではなかった。

かわいそうとかでもなく、後で返して貰おうとかでもなく。いや、どう思っていたかは正直もう忘れた。

ある日、その日も会う予定の日だった、今日来る時にライターを買ってきて欲しいと言われた。

彼はタバコを吸う。

今使ってるライターが切れたんだろう、そう思って近くのローソンに入った。

ライターなんて初めて買う。確か120円くらいしたと思う。

何色かある中から、少し迷って、選んだ。

袋いりますか?

いりません。

ライターにはローソンテープが貼られた。

彼の最寄り駅で彼に会って、そのライターを渡した。

笑顔で、ありがとう。と言われた。かわいかった。

そのライターのことを私が買ってくれたローソンテープのやつ、と呼んだ。とてもかわいかった。

だが、私の彼への気持ちはだんだんと薄れていった。

何日か何週間か経って、彼は仕事に就いた。

給料が入ったので、前述のデート代等とは別の私への借金を返してくれ、

デート代も以前のように彼が払うように戻った。

しかし気持ちの薄れた私はお金時間をかけて彼に会いにいくことが嫌になってきてしまった。

彼はかわいい。かわいかった。好きだった。

今やどう切り出して別れたかも覚えていない。

だけどライターを見たり音を聴くと今でも私が買ってあげたローソンテープのやつのことを思い出す

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