賢者タイムとは己の性欲に向き合うために与えられた時間なのだな。今の俺はとてつもなく冷静だ。
俺は数時間前までデリヘルを呼ぶ段取りをネット検索し風俗デビューを果たそうとしていた。
久しぶりにあった古い友人が今、風俗のようなお金を払うパターンも含めて、派手に女遊びをしているという話をしていて、そんな生活が童貞の俺にはとても魅力的に感じたのだ。
自己正当化しようとするならば、いい年して童貞で燻ってる俺も女を知ることで視野が開けて活動的な男になれるんじゃないかという強引なこじつけの願望。実際その友人はかつてとは比べ物にならないほどエネルギッシュでギラついた男になっていたしな。
嬢の呼び方を調べて既に気持ちは十分すぎる盛り上がりをして、ムラムラっときて手慰みをして今に至る。
なんの出費もせずに数分で冷ますことのできる性的欲求を、2万円近く払って1時間かけて満たすことの虚しさを思った。しかも親の金だ。馬鹿馬鹿しくもなる。自己嫌悪に陥るだけだ。実際に店に行かないのならば先のネットサーフィンにしたって無駄な時間を過ごしたことになる。
という今のしめやかな感情も明日になったら忘れ去られ、風俗デビュー決行の日取りをまた検討しているに違いないのだ。この性欲。
年越しを契機に、365日のオナ禁に挑戦しようという、これまた別のベクトルの馬鹿らしい好奇心に駆られている自分もいる。俺の2015年の貞操の行方や如何に。