2014-10-13

妻の乳がん発見と男の影

妻の乳がん発見と男の影

 妻に乳がん発見された。早期発見だが、片方の乳房全摘出することになり、かなり気落ちしている。

 妻とは共通の趣味である音楽で知り合った。音楽と言っても演奏する方で、それも固定のバンドではなく、同じ音楽好きな人たちがスタジオに集まって演奏する、という形のサークルのようなもので知り合った。結婚したのがちょうど1年程前。

 妻をサークルに連れてきた友人含めてサークル内で知り合った人たちでバンドを組んだりして、これまでごく普通生活をしていたので青天の霹靂だ。

 手術は半日、その後一週間入院。摘出した側の腕はリハビリ必要ということで仕事はしばらく休職することになった。

 手術は入院先の病院と執刀医のスケジュールの都合で1か月後となり、それまでは自宅療養。がんといっても胸のしこり以外に症状があるわけでもなく、手術するまでは特に生活に支障はないが、精神的に不安定かつ、診断結果を聞いた日から熱が出て、入院までは自宅で寝て過ごすことが多かった。起きている間は気持ちが落ちるような環境を一切排除したいとのことで、録りためたバラエティ番組をひたすら見ている。録画を見尽くすと、ツタヤバラエティ番組DVDを借りて来て見る、という生活

 番組を見て笑ってる時はいいのだが、ふと気が付くと横で泣いてことが多々あり、家にいる時はテレビを見るか、妻の涙を拭くのが専らの仕事となり、バンドも休止したため、自分ギターを弾いたり、音楽聴く時間ほとんどなくなった。俺は結婚してから職場で異動があった関係で土祝も出勤になってしまったため、今の妻の精神状態で家に独り残しておくのは心苦しかったが、なるべく仕事も早く上がるようにしたし、仕事以外の時間は全て妻との時間に費やした。

 手術2週間前くらいにようやく気持ち的に落ち着いてきたのか、俺の晩飯や昼の弁当を作ってくれるようになった。医者から特に制限されていることもないので、宣告前と同じように夜はビールも飲むようになったし、週末は病気を打ち明けた友人と会って飲んで、見舞いの品をもらって帰ってきたり。

 手術1週間前あたりで、妻が欲しがっていたLINEのスタンプを購入してやろうと、妻が寝ている間に妻のiPhoneを開いた。妻はクレジットカードを所有しておらず、iPhoneも私が支払いをしており、apple IDもクレジットカードを登録していないため、コンビニiTunesカードを買ってきたのでそれで購入してやろうと思ったのだ。だが、これが良くなかった。

 LINEのトークには妻とある男のやりとりがあった。その男バンドメンバーの一人だった。以降その男間男と呼ぶ(体の関係があるかどうかわからないけれど)。バンド内で既婚者は俺と妻のみだが、間男以外は全員彼氏彼女持ちで、間男は寡黙だが顔はイケメンの部類に入る顔立ちで、40手前で日々音楽中心の生活で絵に書いたような独身貴族といった感じ。

 俺はバンドのリハであまりにも練習をして来ないそいつを気に入っていなかったし、妻も寡黙というよりも暗い間男のせいでバンド内の士気が上がらない、とかアイドル好きの面食い(実際女優アイドル写真集DVDを購入するツイートをしている)などと揶揄して嫌っている様子だったので、LINE内で1対1でやりとりしていること自体が信じられなかったが、トークの内容からは前々から二人で会っているような感じだった。それも俺が仕事の土祝の日に朝から間男の家に行っているようだった。

 「週末会える?」とか「明日起こしに行っていい?」とか。手術直前には間男にも乳がん告白しており、その文面には「退院後には違う体になって帰ってきます」とあり、なんとなく体の関係を匂わせるものも。

 入院の日と、翌日(手術当日)は俺も仕事を休むと職場に告げていたので、入院前々日は仕事のやり残しを減らすため、仕事をして帰りが遅くなってしまった。その日は妻が音楽サークルのみんなに「みんなに会いたいなー」とLINEしていたのでその日の晩に「明日の夜はみんなと飲む?」と聞いたがうつむいたまま「いい」と言ったので特に会合は開かず。その後妻が風呂に行っている間にLINEを見ると、俺が遅くまで仕事をしている間に間男と会っていたようだ。

 入院前日。妻は昼間に昔からの友人(女性)と会う約束をしていた。帰りが何時になるかは聞いていたなかったが俺は前日に仕事を大方やってけていたので早く帰れそうだった。夕方から「晩ごはん食べてくる」とメールが来た。友人となのか、間男となのか分からなかったが俺は早く帰って独りで晩飯を食べながら妻の帰りを待った。

 待ってる間iPhoneを探す機能で妻の居場所を探すと、友人と飯を食べに行ける距離でもあったし、間男が家から徒歩で行ける距離でもあった。

 妻が帰って来ると俺が食べてたコンビニ弁当をやたらつまんで来るので「晩ごはんあんまり食べなかったの?」とか「何食べたの?」とか聞いてみたが生返事しか帰ってこず。風呂の間にまたLINEを覗くとやはり間男と会っていた。

 入院前日の晩飯に俺でもなく、サークルのみんなでもなく、間男を選んだのだ。体の関係があるのかは未だに分からなかったがこれは悲しい事実だった。

 そんなLINEを見てしまって、心の中がモヤモヤしたまま手術の日を迎えてしまった。手術は予定時間を90分ほど延長したものの、手術自体は無事成功し、妻がベッドごと病室に帰ってきた。これまでに医師から受けていた説明では、麻酔が切れた後は多少ボーっとしているかもしれませんというくらいだったが、帰ってきた妻の状態はそんなものではなく、息は荒く「苦しい、苦しい」とうめき、呼吸が上手くできない上に酸素マスクが口元にあるのも嫌がるといった状態でとても見ていられなかった。手をつないだり、頭をなでてやったり、そんなことも嫌がるためしばらくは看護師に任せ病室から出ることにした。昼過ぎに妻が病室から帰ってから俺は数時間を病室と同じ階の待合室で過ごし、晩飯を済ませてからまた病室に戻った。

 部屋に入ると妻は眠っているように見えたが、しばらくするとまた「苦しい」と言い出し、ナースコールを押しては喉が乾いた、腕が痛い、枕が高い、氷枕が欲しいと伝えて、まだ体が自分では動かせないようだった。何をしてやったらいいか分からなかったが看護師の作業を見てからは、ベッドを起こすだとか、飲み物を飲ませるとか自分でできそうな事は妻にしてやった。その日の晩は俺も病室に泊めてもらえることになった。その後数日は他の手術の予定がないとかで、結局俺も病院に4泊した。

 入院中、少しずつ元気を取り戻して、後半には一人でトイレに行けたり、半身を自分シャワーしたり、看護師に髪を洗ったりしてもらったりできるようになった。それ以外は自宅から持ってきたノートPCで借りてきたDVDでまたバラエティ番組を見ながら比較的穏やかに過ごした。看護師に髪を洗ってもらっている間、またLINEを覗く。「退院したらまた会ってね」だって。このモヤモヤ退院後も続きそうだ。

 入院1週間で大分元気を取り戻し、無事退院病院を後にして本人の意思で徒歩で自宅まで帰った。子供と歩くような速度で手をつなぎながらゆっくり歩いて帰ったが退院後2日もすると歩く速度も入院前に近づき、コンビニまでなら一人で歩いたりできるようになった。退院3日目には二人で居酒屋で酒も呑んだ。まだ一人で遠出はしないだろうと思っていた退院4日後にまた間男と会った。また俺が出勤している祝日の日にだ。午後一iPhoneを探すを起動すると、ちょうど自宅の最寄り駅にいる。きっとツタヤのある駅にでも行くのだろうと思ったが、ツタヤがある駅とは反対側に進んでいる。そして間男の住む駅へ。iPhoneGPS機能の精度の良さには驚く。間男の家に妻のiPhoneがある(バンドミーティングで部屋には俺も妻も行ったことがある)。結局午後1時から3時まで2時間滞在していた。

 退院後初めて会いに出かけたのも間男の所か…。

 きっと部屋で一人でいるのも滅入るし、寂しいんだろうな。でも会うのはそいつじゃなくてもいいだろ。

 この文章を打ったのがこの日の出来事。

 今後の事を考える。

 1案)現状の情報だけを妻にぶつける。LINEを覗いたことやiPhoneを探すで居場所を調べた事は怒るだろうな。

 2案)現状維持バンドも続ける。ただし、間男とは一言も話さない。妻も間男も何かしら感づくかもしれない。

 3案)バンドは続けない。間男とも会わない(間男が別でやってるバンドライブにも行かない)。間男の他のバンドメンバーとか、対バンとも夫婦で繋がりがあるので、交流の取捨選択に不自然な所が出てくるので妻は何か感づくかも。

 4案)体の関係を突き止める。入院前については調べようがないので今後の証拠を掴むにも妻のリハビリがしばらく続くのでこれはしばらく後になりそう。そもそも体の関係があるかどうかも分からない。逆に体の関係が前も今後もないなら問い詰める機会すらないのでモヤモヤを抱えたまま生活を続けることになる。突き止めるにしても興信所を頼るほかないので費用がかかる。興信所から体の関係否定された場合1~3案をまた考えなければならない。関係が発覚した場合は即刻離婚だろうな、問い詰め方はまた考えるとしても。

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