2014-02-12

友だちの彼女を見て安心する

十年来の親友が、彼女を連れてきた。友人がいきなり、お前に紹介したい人がいる、と言って、奥から知らない女性が出てきたので、俺は息を呑んだ。

友人の彼女だと明かされて、俺はようやく一息つけた。前から女の子を紹介しろ、紹介しろとしつこく迫っていたから、てっきり俺の彼女候補かと思った。

友人の彼女は、控えめな女性にみえた。性格はおとなしそうで、ファッションも地味で、体つきものっぺりとしている。

その容姿から、(失礼ながら)この人はいわゆる腐女子なんじゃ?と勘ぐってしまったくらいだ。

だが三人で話しているうちに、彼女は気持ちが顔に出にくいだけで、実は明るく、そして友人は彼女のことをとても気にかけている、ということがわかった。

友人は会話の端々で彼女に向かって話しかけていた。部屋ちょっと寒いね、と俺に向かって言いながら、自分の上着を脱いで、彼女の肩に掛けた。

俺には彼女が寒がっているかはわからなかったが、以降よく微笑むようになったので、なるほど確かに寒かったんだろう。

友人とその彼女はとてもお似合いに見えた。二人の仲の良さに気を良くした俺は、しばし幸せな気分になっていた。

でも、二人が帰った後、ふと冷静に考えてみた。

もし友人の彼女が、不細工でなかったらどうだろう?

想像して、足元が崩れていくような感覚に襲われた。

俺は今、明らかに優越感に浸っている。俺には彼女はいないのに??

自分がわからなくなってきた。

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