http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0900U_Z01C13A2EB1000/
大きな下方修正となったのは、公共投資の伸び率が下がったため。実質で見ると推計値は前年度比14.9%増だったが、国や自治体の決算をもとに算出した確報値では同1.3%増だった。
なぜこれほどまでに修正が入ったかというと、GDPの速報値では公共投資は主に建設総合統計の出来高ベースから推計しているが、この統計が厄介なことに現実と離れてしまっているから。
建設総合統計の出来高ベースは、他の一次調査の数字を加工して作る。具体的には、建設工事受注動態統計調査、建築着工統計調査、そして建設工事進捗率調査の3つの統計を加工して作る。建設工事受注動態統計調査では請負契約額が、建築着工統計調査では工事費予定額がそれぞれ請負時、着工時に一度に計上されるので、それを建設工事進捗率調査の進捗率を使って数ヶ月にならして割り振っていく。たとえば進捗率調査の結果が一月目50%、二月目20%、三月目30%となる工事を100億だけ4月に請負えば、4月50億、5月20億、6月30億というように割り振りこれを出来高とする。
ここで問題となるのが、建設総合統計で使われる最新の建設工事進捗率調査が平成18年のものである点。これが調査から時間がたち、さらに震災復興という特殊要因が働く現在の実情と大きく離れてしまっている。当時より土木建設業での人手が不足しており、また特に復興のような集中的な発注に対しては処理能力、供給能力が平時より大きく不足する。そのため、請負った、着工したはいいがその後にほとんど進捗していない例が多い。しかし、建設総合統計ではその請負や着工が平成18年時点での進捗率に従って出来高が出来ていると推計することになり、それを用いるGDPの速報値も実際以上に早いペースでの公共投資額を計上してしまっている。
一方で自治体などの決算をベースにした確報値はより実際の出来高に基づいた推計がなされることになる。その結果、公共投資は大幅な下方修正を受けることになり、それによってGDP成長率そのものも大きく下方修正されたのである。
ここから言える教訓は2つ。1つは、復興の必要性にもかかわらず伸びない公共投資は政府がケチっているからではない。速報値では伸びていたように請負額、つまりは発注額は増えている。しかしお金だけ出しても進んでいないのである。ある場所でいつも以上にお金を積んで無理繰り進めてさえも、そのために別のところで進まない形になってしまっている。また、復興を早期に進めるためにはお金だけではなく、仲裁に政府が積極的に乗り出す必要があることも示している。2つめは、土木建設業の人手不足は深刻化しているため、今後も建設工事進捗率調査にそった進捗は望めず、速報値で公共投資が伸びていても確報値で下方修正されることがしばらく続く危険性がある。逆に、速報値ではずっと前に計上していた出来高が随分と遅れて確報値に出てくることもある。GDPギャップの評価や消費税引き上げ判断のためのGDP騰勢チェックなどの際にも注意しなければいけない。
良解説乙。建築も人突っ込めばなんとかなるという業界じゃなくなってるよね。このあたり人材供給のロジスティクスが欠けてるのが日本の政策の弱点だなあ。 でもこんだけ解説書ける...
公共事業での景気対策が厳しい理由 http://anond.hatelabo.jp/20131201195501 2012年度GDP確報値の大幅下方修正のカラクリ http://anond.hatelabo.jp/20131211155004
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO64127960V11C13A2SHA000/ 日経も追加で記事を書いたようで、やはり今回の改訂は数字の変化だけでなく定性的にも大きな意味を持つと見られている模様。 また自分...