何もない週末の最終日は、近所の用水路をチャリンコで散策することにしている。そこで二つの光景に出会った。
コスモスのお花畑に佇む家族や恋人たち。田んぼで炭をくべて野焼きをしているおじいさんらの姿。
お茶でも飲もうと足を止めたその場所はちょうど両者の風景が収まる所だった。
あちらこちらにたなびく白煙。
黄金色の田んぼと真っ黒に染まった野焼き跡がモザイク上に並んでいる。
その奥にピンク色の絨毯。
雲に隠れて少し弱々しい光が、それでも燻りがちな風景に輝きを増していた。
田んぼの間を縫うようにして生い茂った白いススキの藪が、目に見えない風になびいた。あれも耕作放棄地……ふと、今の私には手前の野焼きの風景の方が自分には合っている気がした。この煙たい匂いが目に染みて辛い。立ち上がると、身体はすっかり冷え切っていて、帰りしなに買おうと決めたおでんの具材に思いを馳せた。
帰り道、あんなに遠かったコスモス畑は、道に乗ってぐんぐんと近づいていく。子供の嬌声に混じって強い花の香りがした。コスモスの匂いだ……やっぱり私には野焼きのあの炭の匂いが合ってる。そう、強く思った。