◆(吉田利幸君)
前略
それから次に、夫婦別姓、これについても大変危険な法案だと思っているんですね。
というのは、家族が解体すれば、必ず地域が解体し、まさしく愛する祖国が解体する可能性もあるというようなことにもなりかねない。
そこで、お伺いをいたしますが、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称することを認める選択的夫婦別姓制度の導入を柱とする民法改正案が二月十九日に明らかになりました。
制度の概要は、婚姻時に同姓にするか別姓にするか、夫婦の合意に基づいて選択するものであり、別姓を選択した夫婦の子どもは、夫または妻の姓のどちらかの姓に統一するものであります。
私たちの家庭、家族は、古来より祖先と子孫は一つの血と命でつながり、固いきずなを持って社会生活を営んできました。しかし、夫婦別姓制度の導入により、夫婦間に生まれた子どもの姓について、父親、母親のいずれかの姓を選択できるようにした場合、夫婦間、親子間で異なる姓を名乗ることになり、家族の一体感、連帯感が損なわれるおそれがあります。また、そのことが子どもに悪影響を及ぼすことを深く危惧しております。
夫婦別姓が認められると、家族、家庭の連帯感が崩壊するおそれがあるとともに、先祖から受け継いできた家の歴史と縦軸の命のつながりを壊し、そのことが郷土愛をはぐくむ心の喪失にもつながります。家族をめぐる痛ましい事件が多く報じられ、家庭崩壊の危機が叫ばれる中、選択的夫婦別姓制度の導入は、家族の一体感やきずなを損ね、さらに家庭崩壊を助長してしまうものです。
我が会派としましては、家族のきずなを大切にしたいため、選択的夫婦別姓制度について反対の立場でありますが、知事はこのことについてどう認識をされてますか。
◎知事(橋下徹君) 僕も、議員と同じように、家族というものが一番大切なコミュニティーで、家族のきずな、これは一番守らなければいけない価値であること、ここはもう全く異論はありません。ですから、家族、そこから発展するコミュニティー、こういうものを大切にするために、校庭の芝生化事業を含めて、とにかくコミュニティー、家族のきずな、こういうことも一生懸命やっているところであるんです。
ただ、ちょっと気になるのは、姓と家族のきずなというものがイコールなのか。僕、弁護士をやってましたので、離婚問題、よくやってました。今、離婚率は三〇%と言われている中で、姓が同じでも家族のきずながないところはいっぱいあるんですよね。ですから、もし本当に姓がそれだけ家族のきずなに重要なんであれば、日本で離婚なんていうのはないと思うんです。でも、やっぱり現実にこれだけ離婚がどんどんふえてきてるというふうな状況を見ると、姓の一致と家族のきずなというものを単純にイコールで考えることは、社会科学的に非常に疑問なところがあります。
それともう一つは、子どもに対して悪影響を与えるというところなんですが、これも僕のことを言わせてもらいますと、うちの母親は再婚してますので、僕は橋下、母親は東山と姓は違いますけれども、しかし、子どもの立場で悪影響を受けたことなんて一回もありませんし、僕と母親の姓が違ったところで家族のきずなが薄まってるなんていうのは全く思ったこともありませんので、姓と家族のきずなというものを簡単に同一視することには非常に危険性があるんではないのかなというふうに思っています。
◆(吉田利幸君) ちょっと、これは皆さんにも聞いていただきたいんですけども、実はトフラーという方が、「我々人類の未来にもし重大な危機が到来するとするならば、それは核兵器によるものや地震などによるものではなくして、人々が家庭本来のとうとい意義を喪失し、それに由来して家庭が崩壊してしまうときであろう。家庭の崩壊は、人間性の崩壊を招来し、社会も国家も成り立たなくなる」と、こういう言葉を残してるんですね。
それからもう一つは、一九九六年一月、これは米国のことですから西暦で読みましたが、クリントン大統領が一般教書演説で「家族は、米国人の生活の基盤である。より強い家庭を持てば、より強い米国を持つことになる」とこれは、大阪府にも置きかえたら、私は夫婦別姓は家庭の解体から人間性の崩壊へと進み、地域の崩壊につながるということと思います。しかし、これはまた議論するときがあると思いますので、次に移らせていただきます。