2012-04-21

還る場所

物心ついた時から「この家はあなたの家じゃないんだからね」と言われてきた。

(両親の子だしデキ婚の子でもない)



とあるごとに、邪魔だの、面倒だの、色々言われてきた。

弟や妹の面倒を見ていたし、成績も良かったし、わがままも言わないし(言ってもきいてもらえないし)、

なぜそんなこと言われるのか分からなかったけれど、

親の言うことに従っていればいつか弟たちのように可愛がられるのかと思い、

極力家に帰るのを遅くしていた。

中学から私立に行っていたこともあって、帰りに図書館勉強し、寄り道をし、

遠回りをし、帰宅20時や21時。

高校に入ってからアルバイトをし、晩ご飯がなかったため(作ってもらえなかった)

毎日友達とご飯を食べ、帰宅は22時や24時。

休日もできるだけ家にいないようにしていた。



しかし「自分の家じゃない」という意識のため、家を大事にするとか、掃除するとか、

誰かのもの勝手に使うとか(シャンプー、石けん、食器などなど)、

自分はしたことがなかった。

家族自分の物を勝手に使い、壊すことも多々あったけれど、

「置いてもらってる代」みたいなものだと思ってた。



家の所有者(もちろん家族)が入院し、疫病神扱いをされ、がっかりし、

お金もあったので思い切って一人暮らしを始めた。



こんなに安心安全で快適な暮らしが世の中にあることに驚いた。


帰ってくるなとか、いさせてやっているとか、お前の家じゃないとか、

なにも言われない。

全部自己責任だけど、自分が使った以上に物は減らないし、グラスも知らないうちに割られない。

ガス代が上がったとかぐちぐち言われる事もないし、

早く帰って「もう帰ってきたの?」と言われる事もない。



それなのに、一人で出かけて、用事が早く終わると、

「帰るのまだ早いかな」と思ってしまう。

染みついた思考って怖い。



未だに実家人達の事を家族だと思ったことはない。

そして、実家は帰る場所でもない。

哀しいけれど、決して広くないこの部屋の暮らしは、楽しいし、安心する。

自分の家だと思うと、綺麗にしようと思うし、実行するものなんだね。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん