結局、私は父が嫌いだったなと思った
私は父の遺品の携帯電話に触れるのも嫌だった
さすがに父が亡くなった時は泣いたけど、それは父を失った悲しみというより、私自身の後悔から来た涙だった
実の子供に嫌われたまま死んでしまった男の人生はどんなだったか想像して泣いた
もしもこんなことにならなければ、いつか私と父が和解することはあったのだろうかと何度も考えた
でも、どんなに想像を巡らしたところで、それはもう絶対に訪れることのない場面ばかりだ
それが悲しくて泣いた
私は、自分自身が父のことをこんなにも嫌っていたのに、人一倍、人から嫌われることを恐れている
私は、自分が人から拒絶された時、真っ先に父のことが脳裏にうかぶ
一度、人から嫌われてしまったら、もうその人との関係は終わりだと思う
取り返しがつかないと思う
それがもし、私が愛した相手だったら
私は愛しているのに、相手が私を嫌いになってしまったら…
私が話しかけても相手は無視をする
私が近づいたら相手は一歩引く
耐えられない
でもそれは、全部、私が父にしてきたことだった
嫌われたくない
父のようにはなりたくない
私は父と似ていると思う
そうしたら私も死ねばいいのかな
父のように死ねばいいのかな