http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.december/10120202.pdf
公取の論理を、行間を勝手な意訳で埋めつつ、噛み砕いてみると下記のような感じになると思われる。
A.前提
ウェブロボット検索「エンジン」市場とネット検索「サービス」市場とネット広告市場は、密接に関係するけれども別物である。
たとえば、パソコン市場とOS市場とCPU市場が別物であるように。
ウェブロボット検索「エンジン」市場においては、グーグルが事業者で、日ヤフーは単なる客。単なるBtoB取引でしかない。
ネット検索「サービス」市場とネット広告市場においては、日ヤフーとグーグルは競合事業者であり、提携内容によっては、独禁法上の問題が生じうる。
独禁法は原則として、事業者を統制する法律であって、客を統制する法律ではない。
客である日ヤフーが、ウェブロボット検索「エンジン」をどこから買おうとそんなのは自由である。
グーグルが、ウェブロボット検索「エンジン」市場における優越的地位を利用して、不当な取引を押し付けたなら違法だが、そんな事実は認められない。
日ヤフーが、ネット検索「サービス」市場における優越的地位を利用して、ウェブロボット検索「エンジン」を安く買い叩いたとかいうなら話は別だが、そんな事実も認められない。
この取引に排除命令を出せるならば、日本の全企業に対して、従業員用の業務用パソコンにウィンドウズを入れることを禁止することだってできることになるが、そんなバカな話はあるまい。
b.グーグルが検索結果を操作して自己に優位な市場を形成する可能性
その可能性が0.01%以上あるからといって、それだけでは規制は不可能。
それができるなら、犯罪を犯す可能性が0.01%以上あるという理由で誰だって拘禁できる法律だって制定できちゃうぜ。
不正な操作が現に行なわれている、行なわれていた、あるいは今まさに行なわれようとしているという証拠を見つけ出せない限り、規制はできない。何をするにも、その根拠となる事実の証拠を見つけないことには話にならん。
なお、そのような不正が行なわれている(いた、いようとしている)というチクリがあれば、調査はする。
ここがウィークポイントになろう。
それでも、両社の説明どおりに運営されるのであれば、事業の分離はなされているので問題はない。
グーグルが、日ヤフーのネット広告運営システムのデータを盗み見て、自社のネット広告事業を優位に進めるために悪用するという事実があれば、違法となる。
あるいは、両社が互いにデータを融通して、両社でネット広告市場を支配するために悪用するという事実があれば、違法となる。
ただし、これも、そのような不正が現に行なわれている、行なわれていた、あるいは今まさに行なわれようとしているという証拠を見つけ出せない限り、規制はできない。
なお、そのような不正が行なわれている(いた、いようとしている)というチクリがあれば、調査はする。
この市場においては、両社は、シェアを奪い合う関係なのには変わりはない。なぜなら、検索窓は別だから。
日ヤフーは、グーグルのウェブロボット検索「エンジン」から供給されるデータを自由にカスタマイズしまくれる権利をゲットしてるのだから、問題ない。
実際にカスタマイズしてるか否かなんて、どうでもよい。カスタマイズするかしないかも含めて、日ヤフーの自由だ。
グーグルが、その優越的地位を利用して、カスタマイズを不当に制限・禁止した場合には違法になりうるが、そんな事実は認められない。
E.グーグルが日本のネット情報の90%近くを握るのは問題じゃないのか?