昔、階段から落ちそうな弟を上から掴んで引きとめたことがある。
場所は手すりもないコンクリートの、アパートの階段。
当時私は幼稚園、弟は立ち歩きが始まったばかりだったと思う。
しかし悲しいかな私は虚弱体質で、幼稚園の私に幼児一人支えられる力があったとは思えず。
あまり現実身のない話なので、ここ最近までずっとリアルな夢を見たのだと思っていた。
ところが先日、唐突に母にその話をされた。
あっと思ったときに、母より早く私が飛び出ていったとか。
あまりの火事場の馬鹿力っぷりに母も驚愕したらしい。
ちなみに弟に聞いたが全く覚えていないようだった。
夢だと思っていたものが実は現実だった時はなんとも不思議な気分になる。
そしてふいに、今はたくましくなった弟の、あの時掴んだ手首の感触を思い出した。
それだけの話。
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