日本経済は、大地震で傾いた建物を改修工事でごまかしてきたようなものだ。歪んだドアは取り替え、ひびの入った壁には上塗りして、今では当時の痕跡はないが、建物は今も少しずつ傾いている。あと数十年で倒壊することは確実だが、いつ倒壊するかはわからない。
建て替えなければならないことは誰もが知っているが、そのためには大きなコストがかかる。いま住んでいる人は、他の建物に一時的に移らなければならない。建て替えのメリットより引っ越しのコストのほうが大きい老人は「今のまま住んでいたい」と建て替えに抵抗する――これは集合住宅の建て替えで起こる紛争とそっくりである。
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