どこの企業とは直接は書かないけど、某居酒屋チェーンが500人を正社員として採用するそうですよ。
それに対して世間の反応は多分「捨てる神あれば、拾う神あり」みたいな感じなんでしょうね。「素晴らしい企業だ!」なんて書いているブログもあったし。
このチェーンは古くからインターネットを使っている人や弱者ビジネス問題を扱っている人にとっては「キング・オブ・ブラック」とでも呼ばれるようなブラック企業として知られています。
サービス残業は当たり前、長時間労働で店長格でも時給換算すればバイトよりも時給が低い。今年の流行語対象のノミネートに「名ばかり店長」なんてのがありましたが、マクドナルドの名ばかり店長なんて、居酒屋チェーンの名ばかり店長に比べれば、まるで天国です。例の店長なんて、一番酷いときでも年収600 万も、もらっていたそうですから。
非正規労働の問題をいうときに、必ずと言っていいほど「探せば仕事はある」なんてお決まりのフレーズをいう人がいますが、こうしたブラック企業で長時間低賃金で働いて、仮に3年頑張ったとして、3年後に生活の安定へ道が開かれると思いますか?
そんなことはまったくの夢物語です。
こうしたブラック企業で3年間働いたとしても、住み処を失うことは避けられても、長時間労働で体をおかしくして、お金もスキルもたまらない。それで仕事をやめたとして、ではその先にまっているのはもちろん「仕事をしない怠け者」という罵倒ですよ。それはニートのヒキコモリが3年間家に閉じこもってたのとなにも変わりません。働いたってなにも得られないんですから。
まさに「働いたら負け」です。
居酒屋で働いた接客スキル? そんなもの誰も評価しませんよ。8年近くコンビニで働いて接客スキルを鍛えてきた私が言うのだから、間違いありません。そもそも工場から派遣切りされたのも、企業側が非正規労働者のスキルを認めないからです。
企業側が認める気がないスキルを蓄えたって、なんの意味もありません。唯一「正社員」というスキルはつきますから、それをなんとかうまく利用する手だてを考えることが必要ですね。「居酒屋チェーン正社員を途中でやめた無責任者」と、ちゃんとした企業にみられないための面接シミュレーションをタップリ行って、それで行けそうだと思うならば、こうしたブラック企業への就職も悪くないでしょうが、最低限これが劇薬であることを理解する必要があります。間違っても終身雇用を期待してはいけません。
しかし、やはり将来に対するビジョンということを真剣に考えれば、非正規労働者こそ仕事をえり好みして、自分の将来に繋がる仕事をしなければならないし、国もそうした仕事を提供しなければならないのです。
ただの雇用に意味はありません。労働によって人が社会に組み込まれ、そのなかで生活を安定させていく。そういう雇用でなければ、仕事の意味がないのです。
そもそも国がちゃんした福祉を提供し、衣食住を保証していれば、変な企業にあわてて駆け込む必要なんかないのです。
非正規労働者の雇用に対して助成金を出すなんて話もありますが、ハイエナ企業が助成金目当てに大量採用して、違法な長時間勤務をさせて自主退職に追い込むという可能性もあります。
特にこの時期に大量採用をぶち上げ、企業アピールを狙っている企業なんかに対して、しっかり労働基準監督署はどんどん立ち入って検査するべきなのです。働け労基。
与えられた仕事の範囲で得られるスキルに期待するような奴は公務員以外はどこ行ってもダメだと思うぞ。 いかに1から10を学び取るかが勝負だろ。